施設内飲食店舗シリーズ パシヒィコ横浜 世界最大級のコンベンションセンター

1995.03.06 71号 16面

パシフィコ横浜は世界最大級の複合コンベンションセンターだ。横浜・JR桜木町から歩いて一二分。日本一のノッポビル「ランドマークタワー」(地上高二九六m)のウラ手、白亜の烏帽子の形をした建物で、駅ホーム上からも見える。場所は二一世紀のウォーターフロントの新都心「みなとみらい21」の東端に位置しており、その臨海部は広い「臨港パーク」になっている。平成3年7月オープンで、会議センター、展示ホール、ホテル、国立横浜国際会議場(国立大ホール)の四施設から構成され、日本でも有数の施設規模を誇っている。年間約一三〇万人(九三年度)の施設利用で、来館者のためのホテルおよび飲食施設も充実している。飲食施設は会議センター内に二店、展示ホールに四店、ホテル内に八店舗を展開しており、来館者の飲食ニーズに対応している。

施設データ

・事業主体/(株)横浜国際平和会議場

・場所/横浜市西区みなとみらい一‐一

・施設開設/平成3年7月

・施設構成/会議センター

(メーンホール一〇〇〇席、

小ホール三九〇席、大中小会議室、控室計六〇室)、展示ホール(三〇〇〇坪)国立大ホール(五〇〇〇席)ホテル・ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル(六〇〇室)、ホテル内レストラン・ラウンジ・バー=中国料理「〓〓」/一四二席、日本料理「矼」/一二二席、フレンチ「アジュール」/六二席、イタリアン「ラ・ヴェラ」/一二四席、メーンバー「スターボ」/一〇二席、ティーラウンジ/五一席、ロビーラウンジ/五一席、オールデイダイニング「マリンカフェ」/一六〇席

◇パシフィコ横浜飲食施設〈会議センター〉

・ベイブリッジカフェテリア/一三〇席(六階)・ティールーム/六〇席(二階)

〈展示ホール〉

・イート・ジョイフードガーデン/八〇席(二階)・横浜ミルクホール/五〇席(二階)

・レストランバーグ/二一〇席(二階)・フロ横浜/一六八席(二階)

パシフィコ横浜は、「みなとみらい21」で展開される施設群の一つとして建設されたもので、国内で開催される各種会議および展示、イベント、また、国際会議や大会などの会場として機能している。

昨年5月、日本で最初に開催された国連行事「国連防災の一〇年世界会議」、8月に開かれた「第一〇回世界エイズ会議」、また、11月に開催された「’94ジャパンフードサービスショー」などは、その代表的な施設利用として集客力を大きく発揮した。

とくに、エイズ会議には三日間の会期中に一万四〇〇〇人もの参加者があり、国際行事では過去最大の集客数だった。

今年4月から5月にかけて予定されている主だった催し物ではまず、4月に「’95パワーエレクトロニクス国際会議」(会議センター)、5月「ライオンズクラブ国際協会三三〇複合地区第四一回複合地区年次会」(国立大ホール)、同「自動車技術展/人とくるまのテクノロジー展’96」(展示ホール)などが予定されており、昨年に劣らず集客力を発揮する見通しだ。

パシフィコの飲食施設は、会議センターにカフェテリアとティールームの二店、展示ホールにレストラン二店とファストフード二店の計四店、ホテル内に和・洋・中、喫茶など八店舗が出店しており、来館者や宿泊者の飲食ニーズに対応している。

これら飲食施設、とくに会議センターや展示ホール内の店舗は、施設利用の飲食ニーズに対応する考えで展開しているもので、会議センターの二店はインターコンチネンタルホテルの直営、展示ホールの四店はテナント出店での運営で、一般営業しているのは「FLO横浜」一店のみで、残り三店舗はイベント開催日のみの営業だ。

いわば“祭日店舗”ということだが、イートインに加えては弁当販売やケータリングサービスもおこなっており、短日間に売上げを高める努力をおこなっている。

パシフィコの飲食施設は、ホテル内の施設を別にすれば、基本的には内外の会議やイベント客の飲食ニーズに対応したものであるので、各店舗の営業(集客力)は、会議やイベントの開催件数、期間、および規模(集客数)との相関関係にある。

また、パシフィコの施設自体が市街地から遠く離れていることと、さらには将来を別にすれば、現状においては「みなとみらい21」の都市(市街地)づくりはまだ進行中で、街としての機能が未完成であるので、ストレートには客を集客しにくいという立地のハンディがある。

このため、展示ホールの飲食施設においては、通年営業しているのはブラッスリー「フロ横浜」のみだ。

展示ホールの飲食店舗は、フロに加えFFレストラン「横浜ミルクホール」、同「イート・ジョイフードガーデン」の計四店が出店しているが、営業時でもイベントや会議の内容、規模によっては客の入りが悪く、“開店休業”といった状況も少なくない。

このため、店の収益や集客力を高めるために、弁当販売やケータリング、さらには、貸切りのパーティーを導入するなど、活発な営業活動を展開している。

売上げが安定しないので、家賃は歩合制だが、会議センター内出店のカフェテリア、ティールームの二店を合わせて、パシフィコの飲食六店舗の売上げはトータルで年間六億円前後。

単純に計算すれば一店舗一億円、現状においては善戦しているといえる数字だ。

会議センター六階。横浜港が一望できる海辺に位置しており、淡いクリーム色のシンプルな内装がリゾート感覚を演出している。

店舗面積三六〇坪、客席数一三〇席。基本的には券売機でチケットを買っての「カフェテリアサービス」となっているが、予約による各種パーティーの受付けもおこなっている。

メニュープランや店の運営はヨコハマグランドインターコンチネンタルホテルがおこなっており、料理やサービスの質は高い。

営業形態は午前11時30分から午後2時までがランチサービスで、評判のメニューはターキフリカッセ(肉料理)、サーモンムニエル(魚料理)、中華料理、丼物、カレーセット、スパゲティセットなどそれぞれ一二五〇円のセットメニュー。

午後3時から6時までは軽食タイムだ。これも一二五〇円の均一価格で、ミックスサンドセット(スープ付き)、ハンバーガーサンドセット(同)、スパゲティミートソースセット(サラダ付き)、ビーフカレーセット(同)、などのセットメニューを提供している。

午後6時以降夜はブライダルの二次会やクラス会といった貸切りパーティーで、利用人数は三〇人から、料理は一人六五〇〇円と八五〇〇円の二種類を用意。週に二~三組の利用があり、売上げに貢献している。

通常営業での売上げはランチタイムのウエートが大きく、月商一五〇〇万円前後。利用客は会議センターからが八~九割を占め、日中三〇〇~四〇〇人の利用がある。

日清製油の直営店で、クレープメニューを主体として横浜・八景島、名古屋水族館に姉妹店がある。店舗面積三〇坪、客席数八〇席。イベント開催日およびその前後の搬出・搬入日のみの営業で、店の稼働日数および集客数は、展示ホールでのイベント数とその規模(集客力)に関係してくる。

メニューはカルビー丼、ハンバーグ丼をはじめ、パエリアやカレー、ドリア各八〇〇円、バナナチョコ、ハワイアン各三八〇円、マロン三四〇円、ツナエッグ三五〇円などのクレープ、焼おにぎり、ホットドッグ各三〇〇円など。

すべてスピードクッキングとテークアウトが可能なFF的な商品で、短時間に客数が多く取れるメニュー構成となっている。

客単価は一〇〇〇円前後。売上げは一定率ではないが、月平均八〇〇~一〇〇〇万円前後の水準だ。

展示センター二階の臨海公園側に位置している。すかいらーくが経営する低価格志向の仏料理店(ブラッスリー)で、九一年12月にオープン。チェーン化を意図しているすかいらーくの新業態で、表参道、南青山に一、二号店を開設している。

店の運営は正午から4時までがランチタイム、代表メニューは「フロ横浜ランチ」(オードブル・魚料理または肉料理・デザート=ケーキまたはシャーベット・コーヒー)一七〇〇円、「フロ横浜スペシャルランチ」(オードブル・本日のスープ・魚料理または肉料理・デザート・コーヒー)など。

このほか、客が自由に選べるアラカルトメニューも提供している。

2時30分から5時まではアフタヌーンで、コーヒー(紅茶)付きのケーキセット一〇〇〇円。4時から10時まではディナータイムで、三八〇〇円、五〇〇〇円、六五〇〇円の「コースメニュー」をラインアップ。

五〇〇〇円のコースメニューは、オードブル・本日のスープ・魚料理または肉料理・デザート・コーヒーなどで、コース料理の中ではよく出るメニューだ。

客層はカップル、女性グループなどが主体で、客単価は昼二〇〇〇円、夜五~六〇〇〇円前後。月商は一五〇〇万円(推計)といったところ。

貸切りパーティーは月間四、五組前後で、立地のハンディから集客力はまだ不十分だが、パーティーや独自企画のブライダルフェアなどで、売上げをキープしている。

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