10月28日。今日はおだしの日
10月28日は株式会社太鼓亭が制定したおだしの日。かつお節の燻乾カビ付け製法を考案した角屋甚太郎の命日に(1707年10月28日)に由来する。
古から重要な食物だったカツオ
日本人とカツオとの関係は古く、主に北関東から東北地方太平洋沿岸の縄文時代前期の貝塚よりカツオの骨は発見されている。太古の時代よりカツオは日本人に好まれ食されてきた魚である。律令制度では堅魚・煮堅魚(かたうお:乾燥させたかつお、にかたうお:煮て乾燥させたかつお)や堅魚煎汁(かつおのいろり:かつおの煮汁の濃縮した調味料)を調(租税)として扱われたことからも重要な食品であったことが伺われる。また、江戸時代末期においては保存性と風味に優れたカビ付けを何回も繰り返した「本枯鰹節」が、先人達の知恵と努力により、江戸商人と伊豆田子の職人達により開発された。
かつお節の文字が初めて登場した最古の資料は、室町時代(1513年)のトカラ列島、臥蛇島より領主種子島氏にかつお節を献上したと記録のある「種子島家譜」である。しかし、現在のかつお節の基本製法である焙乾法が確立されたのはこれより約200年後の、江戸時代中期である。かつお節製造の重要なポイントであるかつお漁法、間欠焙乾法カビ付け法の開発とその伝播は土佐、薩摩を中心に拡がった。このかつお節の製法開発と全国への伝播は、活躍した場所、時代は異なるが江戸初期〜後期にかけ、「初代甚太郎」「二代目甚太郎」「森弥兵衛」「土佐の与市」ら紀州印南浦の出身者による功績が大きい。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:株式会社にんべん 荻野目 望))