12月21日。今日は漬物の日
毎月21日は漬物の日。漬物は名古屋市の郊外にある萱津神社で生まれたという伝説があり、萱津神社ではこの故事に従って8月21日を「香の物祭」として祝っている。それに習い、漬物業界では毎月21日を漬物の日に定めた。
漬物は昔、海水に漬けて作られていた?
漬物は食塩を利用することにより野菜を長期に保存することが可能となることから、乾物などと同様にもっとも古い保存食品の一つである。「藻塩焼(もしおやき)」という語句が万葉集のなかに出てくる。この「藻塩焼」の藻は海中に漂う海藻のことで、海藻を海水に浸けて干すことで塩分が濃縮され、これを海辺に晒して、乾燥させてから焼くと食塩と海草に含まれている灰分が残ることになる。日本には中国や西欧のように岩塩が産出しないので、古代の日本においては、このように藻塩から作った灰の混じった塩を使って漬物が作られていたことが想像される。また、野菜を海水に漬けることにより漬物が作られていたとも考えられている。野菜を海水で漬けた場合は、塩濃度が低いので、乳酸菌や酵母などが増殖し、 酸味やエステルが作られるので風味が出て発酵漬物になる。このように、製造の容易さを考えると漬物は塩漬と発酵漬から始まったものと考えられる。その後、中国との交流が始まり、遣唐使が往来するようになると、さまざまな文化がわが国に伝来し、酒、味噌などの調味料も製造されるようになり、江戸時代になると、粕漬、味噌漬、麹漬のような多種多様な調味漬物や浅漬が生まれてきた。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:東京家政大学 宮尾茂雄))