12月23日。今日は平成の天皇誕生日
12月23日は平成の天皇誕生日。宮中では「宴会の儀」が執り行われ特別なメニューが供された。
かつて宮中で特別な日に食べられていた麩
麩の原形は、中国の「麪筋(メンチン)※」であると考えられる。この麪筋という食べ物も、小麦粉を水で練り、でん粉を水で洗い流した弾力性のある粘った物で、たん白質(グルテン)のかたまりである。(※「麪」は小麦粉を一字 で表した漢字であり、「麺」の漢字を使うのは誤りである。)
日本へ麪筋が伝来したのは、南北朝時代または室町時代という見方がある。これは、この時代に編纂された『節用集』などに「麪筋」と思われる文字が見られることから、そのように推測される。当時、多くの日本の仏僧達が中国へ留学しており、麪筋を蒸したものは、肉食禁断の仏僧の貴重なたん白源であったことから、日本へもこの食文化が伝えられ、精進料理のような日本の食文化に反映されていったと見ることができる。
このようなことから、伝来したしばらくの間、麪筋は寺院と宮中の中でのみ作られており、社寺が多く、御所のある京都を中心に発展していったようである。当時は、 麪筋を大きな釜でゆで上げて食べられていたことが多く、他に煎麩(いりふ)、炙麩(あぶりふ)として用いられていたことが古書籍や古文書から伺うことができる。寺院と宮中の中でのみ作られていた理由としては、当時の国産小麦の作付け数が少なく、「挽き割小麦」が高価であったためである。そのため、一般には口にすることが出来ず、宮中や僧堂で特別な時にのみ食され、麩は育まれていくことになる。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:協同組合全国製麩工業会))