水産練り製品特集
◆水産練り製品特集:市場活性化 ドラッグ好調 業界一丸で「高タンパク食」
水産練り製品業界は18年末からのカニ風味かまぼこ(かにかま)ブームに乗り、19年は市場規模が長期縮小傾向から1%程度の拡大に転じたとみられる。すり身原料高騰や物流費・人件費の上昇に伴い、19年春までに主要メーカー各社が一斉値上げに動き、わずかながら単価上昇も見てとれる。販路面でもドラッグストアでの販売好調など、市場は明らかに活性化している。
KSP-POSによると、ドラッグストアでのかまぼこカテゴリーは、19年販売額で前年比25%増とスーパーの同約5%増を上回った。同年1~11月はかにかまが中心だが、12月は正月用の板かまぼこが市場を押し上げた。ただ、揚げ物・ちくわ・はんぺんなど依然、不調なカテゴリーも。おでんは昨年からの暖冬の影響を受け、19~20年シーズンは同5%減で推移したもよう。またかにかまブームは11月あたりで一巡し、持続的な高い伸びは期待薄となった。
コスト面でも、依存度が高まる主原料の北米産スケソウダラすり身の価格が記録的水準に高止まり、20年春漁のAシーズン価格も予断を許さない状況。厳しい環境が続く中、かにかまブームの発端となった「高タンパク食」としての魚肉すり身製品の健康訴求に、業界一丸で取り組む機運が高まっている。今後の力強い市場成長に期待が膨らむ。(本宮康博)