6月1日。今日は牛乳の日
6 月1 日は一般社団法人Jミルクが制定した牛乳の日。2001年に国連食糧農業機構(FAO)が6月1日を「世界牛乳の日(World Milk Day)」に提唱したことに由来する。また6月は牛乳月間である。
福沢諭吉や仮名垣魯文が広めた牛乳の価値
東京では、将軍御用の乳製品をつくっていた吉野郡造が1869 (明治2)年頃から牛乳の販売を始めている。70年には旧旗本阪川当晴が築地にできた牛馬会社から牛乳を払い下げてもらい、販売を始めている。阪川は後に自ら牧場を経営、搾乳業を行い、当時の乳業界の第一人者であった。
明治初期の文明開化の時代、松本順、福沢諭吉、仮名垣魯文などの当時の進歩的な医者や学者らが牛乳の栄養価値をひろめ、利用をすすめた。1871年の『新 聞雑誌』には次のような記事が掲載されている。「外国人ノ説ニ日本人ハ性質総テ智巧ナレトモ根気甚タ乏シ。コレ肉食セザルニ因レリ。然レトモ老成ノ者今ニハカニ肉食シタレバトテ急ニソノ験アルニモアラズ小児ノ内ヨリ牛乳等ヲモッテ養ヒ立テナハ自然根気ヲ増シ身体モ随テ強健ナルベシト」。
1875年頃には、搾乳業者が増え、東京牛乳搾り取り組合ができ、組合員は20名にも達した。これは士族授産政策とともに山県有朋ら政府の高官・旧藩主などが率先して出資者あるいは直接事業主となり、搾乳業に参加したのが大きな影響を与えたのである。
1894、95年の日清戦争の開始戦後の好況にあって全国的に繁栄し、さらに1905年の日露戦争時には搾乳量200石(36kl0、業者数320へと増え、業界は発展の道を歩んでいった。また牛乳営業取締規則の公布により衛生面からの改善も行われていった。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:林 弘通))