酒類流通の未来を探る

酒類流通の未来を探る:小売最前線=CVS 巣ごもり需要で販売増

酒類 2020.07.18 12084号 13面
高価格帯のニーズも増加=ローソンとヤッホーブルーイング共同開発の「僕ビール君ビール」

高価格帯のニーズも増加=ローソンとヤッホーブルーイング共同開発の「僕ビール君ビール」

 ●オンライン飲み会増加 売れ筋にも変化

 コンビニエンスストア(CVS)での酒類販売は、新型コロナウイルスの影響で外出自粛による巣ごもり需要で家で飲酒する機会が増え、好調なカテゴリーとして推移している。家飲みで少しぜいたくな酒類が選ばれるようになるなど売れ筋も変わった。オンライン飲み会も広まり、話題づくりになる商品が求められるようになり、新しい酒類の楽しみ方が求められている。

 新型コロナウイルスの影響で、CVSの3~5月は客数減少で各チェーンとも既存店の売上げは苦戦しているものの、客単価は増加している。日本フランチャイズチェーン協会の4月、5月度のCVS統計によれば、客単価を押し上げた要因の一つとして酒類のまとめ買いを挙げている。セブンイレブンでも3~5月の各月の前年比プラスのカテゴリーとして洋酒・ワイン・雑酒を挙げている。新しい生活様式や在宅需要がプラスに作用した。

 ローソンでは酒類の売れ筋が変わった。東京都のアルコール種類別販売高順位は3月2日週~4月6日週で1位「チューハイ」、2位「ビール」、3位「新ジャンル(PB除く)」、4位「高価格帯ビール」だったのが、4月13日週~5月4日週では1、2位は同じものの、3位に「高価格帯ビール」が浮上し、4位に「新ジャンル(PB除く)」と入れ替わった。とりわけ高価格帯の中でもヤッホーブルーイングと共同開発のクラフトビール「僕ビール君ビール」はレギュラービールを含めても上位に入り、カテゴリーの売上げを押し上げたという。同社ではクラフトビールや輸入ビールなど少しぜいたくな酒を楽しみたいというニーズが高まったとみる。今後もオンライン飲み会が定着し、話題づくりになるような特徴ある商品が選ばれると見込む。

 5月25日に緊急事態宣言が全面解除され、6月19日から都道府県をまたぐ移動制限が緩和されたものの、継続して新しい生活様式の定着が求められている。しばらく在宅需要は底堅いとみられ、CVSでの酒類販売も同様に推移する可能性が高い。各社には内食需要の増加、オンライン飲み会など新しい生活シーンに対応した提案が求められそうだ。(山本仁)

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