アポなし!新業態チェック(158)「プルコギ純豆腐 中山豆腐店」高田馬場

2020.10.05 500号 11面

 ●アークダイニングが韓国系の新業態 店舗で仕込む自家製の豆腐をスンドゥブで提供

 アークランドサービスホールディングスの傘下で「肉めし岡むら屋」などを運営するアークダイニングが、今年5月末に新業態の純豆腐(スンドゥブ)専門店「プルコギ純豆腐 中山豆腐店」を開業した。

 同店は、東京・新宿区の高田馬場駅からほど近い早稲田通り沿いの路面店。以前は同社の「岡むら屋」店舗があった場所だ。新業態とはいえ「岡むら屋」と大きくかけ離れたスタイルではなく、内外装の改修は意匠の変更が中心で、基本的なレイアウトなどはそのまま流用されている。

 この店の特徴は店舗で仕込む自家製の豆腐だ。北海道産のブランド大豆と水だけで作った豆乳を店舗で豆腐に仕上げ、各メニューにたっぷりと使用している。

 メニュー数は少ない。ご飯と2種類の小皿、温泉卵が付いた定食メニューが、「スンドゥブ定食」(790円)のほか、「牛プルコギスンドゥブ定食」「牛ホルモンスンドゥブ定食」「アサリスンドゥブ定食」(各890円)、「海老スンドゥブ定食」(990円)の5種類。ご飯のお代わりは無料だ。ほかに、日本そばの麺が入った「プルコギスンドゥブ蕎麦」(890円)がある。サイドメニューは単品の「キムチ」(50円)とビール、コーラなど。

 熱々の小鍋で提供される料理は、いわゆる韓国料理の純豆腐チゲをベースにしているが、味付けに独自のアレンジが加えられている。スープは辛さを選ぶことができ(4辛~6辛のみ50円増し)、スンドゥブはプラス390円で大盛りになる。テイクアウトにも対応しており、これまでにあまりなかった商品として、今後の展開が注目される。(価格は税込み)

 ★けんじの評価 変化恐れぬ柔軟なメニュー改善

 アークダイニングの親会社であり、「かつや」で知られるアークランドサービスホールディングスは近年、M&Aも含めグループ内で急速に多ブランド展開を進めている。自社開発した最近のヒット業態は「東京たらこスパゲティ」だ。今年1月に出店した渋谷店は、すぐさま店頭に行列ができる繁盛店となり、コロナ禍をものともせず7月には原宿に2号店をオープンした。

 そのグループの中で、アークダイニングはどちらかというと、グループの原点である「かつや」に近い、実用的な外食分野を担当しているように思われる。今回の「中山豆腐店」、そして既存の「岡むら屋」の両方に共通して感じられるのは、「男のガッツリ飯」的なイメージなのだが、多店舗化を前提とした業態として、果たして将来的にそこは狙うべきマーケットなのだろうか、というのはやや気になるところだ。

 同店に臨店したのは8月の中旬。実は同店のメニューはオープンから何度か変更になっている。当初は現在の大盛りサイズがメインであり、現在の価格のメニューは「七分盛」という小ポーションのラインだった。ご飯にプルコギをのせた「プルコギ丼」というアイテムもなくなったようだ。状況に応じてメニューを臨機応変に変化させるのは意外と難しい。この夏には「冷麺」もメニューに加わるなど、今後も変身を続けるのかもしれない。

 筆者はかなりの猫舌であるため、残念ながら熱々のスンドゥブ鍋をファストフードのスタイルで短時間に食べるのは苦手だ。しかし、このブランドにはまだ見えない可能性もあるようにも感じる。この時代に、変化を恐れぬ姿勢は得がたい。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「プルコギ純豆腐 中山豆腐店」高田馬場

 開業=2020年5月29日/所在地=東京都新宿区高田馬場1-26-12 高田馬場ビル1階

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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