テレワーク後はアペリティーボでハッピータイム イタリア食前酒が英国で大ヒット
アペリティーボ(食前酒)が英国で流行している。仕事が終わり、食事までの間に酒やスナックを楽しむイタリア式食前酒タイムである。爆発的なカクテルの流行と同時に、新しく浮上した風変りなハッピータイム。カクテルとは違う軽やかな味わいが英国人をとりこに。今回はこの人気の背景に迫る。
ロックダウンでカクテルブームに火がついた英国
コロナまん延に伴うロックダウン期間にカクテルブームに火がついた英国。この勢いにのり、イタリア風アペリティーボを楽しむ人々が急増している。テレワークの人々が多い中、仕事とレジャーの切り替えを促し、気持ちをリフレッシュさせてくれるドリンクとしてアペリティーボが注目されているのだ。
今年の夏、アペリティーボのベースとなるスピリッツの販売量が大幅に伸びた。その中でも、イタリアの「APEROL」の人気が爆発。大手スーパーのWaitroseによると、昨年7月との比較で148%の増加を記録したとのこと。この他にも、フレーバードワイン「VERMOUTH」が64%上昇。食前酒人気はとどまるところを知らない。
オレンジ色がインスタ映え
APEROLは、定番カクテル「Aperol Spritz」のベースとなるスピリッツである。甘くてほろ苦い味が特徴で、美しいオレンジ色がオシャレな印象を与える。インスタ映えする姿が特に若者達をひきつけている。APEROLの主原料はルバーブとオレンジ、ジェンティアン(gentian)と呼ばれる薬草である。そのせいか、喉の痛みや咳に効く薬用シロップのような味だと説明する者もいる。
いずれにしてもファンは多く、Google Trendsのデータを見ると、ここ5年間でAperol Spritzの検索件数は4倍にも増えている。
参照サイト:
Thirst for lockdown cocktails puts a fizz in spirits sales The Times
カクテルより手軽で人気
アペリティーボは通常のカクテルとは違う。カクテルよりも手軽に作れてアルコール分が少ない。元々イタリアでは、食事の前に胃を刺激して食欲を増進させるためのお酒として親しまれており、飲んでノックダウンさせるような強い酒ではない。
優れたアペリティーボと言われるものは、苦味を特徴としており、トニックやソーダ水で割られることが多い。定番は「3:2:1レシピ」と呼ばれるもので、グラスにプロセッコ(イタリア産スパークリングワイン)を3、APEROLを2、ソーダ水を1の割合で入れる。氷とオレンジを入れてでき上がりという簡単なものだ。なんといっても、キラキラしたオレンジ色がステキ。見ているだけで夏をほうふつとさせてしまう。
APEROLブームの裏には、イタリアのCampari Group の熱心なマーケティングがある。2003年以降、継続的に行ってきた彼らの努力が功をなした。クリスマスなど年末年始のイベントはAPEROLで乾杯!夏気分で体がホカホカしてきそうだ。(フードライター ラッド順子)