プラントベースは英国で「ファッショナブルな商品」に アイスクリームにも革命が

ベジタリアンブームの英国にアイスクリームブームが到来している。今、注目されているアイスクリームとは一体どのようなものか、なぜ売れるのか、について英国在住の筆者がレポートする。

温暖化で自国で夏を楽しむ英国人が増加

英国では、ベジタリアンブームとともにプラントベースの食品が増えている。環境保護や健康への意識の高まりから、食生活を見直し、ベジタリアンやベーガンになる人々が急増しているからだ。同時に、プラントベースは「ファッショナブルな商品」として注目されている。

マグナム社のプラントベースのアイスクリーム(筆者撮影)

こうした背景の中で、販売数を伸ばしているのがアイスクリーム類である。地球温暖化による気候の変化も影響し、英国でも気温が高い日が増え、その人気が爆発。数年前までは、寒い夏が定番だった英国。夏はフランスやギリシャといった暖かい地方で太陽を楽しむ人々が多かったが、最近は猛暑の日もあり、自国で夏を楽しむ人々が増えている。

こうしてビジネスチャンスを得たのがアイスクリーム類なのである。その販売額を見ると、2019年には14億ポンドを記録し、2020年には15億ポンドを達成。年々、増加傾向にある。

※参照サイト:
Could flexitarianism save the planet? | Environment | The Guardian
Alt ice-cream enters mainstream as UK sales rise with the temperature | Ice-cream and sorbet | The Guardian

豆乳や大麦やココナッツをベースに

英国では、実はアイスクリーム類はぜいたくなものとしての認識が高く、味がよければ価格が高くても購入するという消費者が多い。今や販売企業にとって、アイスクリームは「ゴールドマイン(gold mine:金脈)」。彼らはアイスの新製品を次々と市場に送りだしている。

その新製品のトレンドが、プラントベースで低カロリーのアイス類。販売額の数字の伸びの裏には、プラントベース商品の開発があったのだ。豆乳や大麦やココナッツをベースとしたもので、その他、珍しい風味やインスタグラム映えするアイテムにも人気が集中している。

プラントベースの低カロリーアイスクリーム(筆者撮影)

特に、1981年から1996年生まれの若者層の約26%がベジタリアンであることから、健康意識の高いこの層をターゲットとする製品も多い。

低カロリーで人気の商品は「ハロートップ」である。砂糖代替品のステビアを使用し、50ml当たり60キロカロリーと、ハーゲンダッツ・アイスクリームの平均的カロリーの約5分の1に抑えている。また、大手マグナム社もブームにあやかり、プラントベースの商品を市場に投入し、乳製品とは区別できないほどクリーミィーな味わいがうけている。

コロナ禍に対応したスタイルも

さらに、今年目立つのはスタイルの変化だ。大きな容器やバータイプの製品が独占する中、一口サイズのミニチュアタイプのアイテムが新たに登場。大手Walls社による「ミニコルネ」は、1個あたり28mlの10個入りパックやミニバイトというもっと小さい1個10mlの10個入りパックで展開している。

1パックの中に一口サイズのアイスクリームが入っている(筆者撮影)

こちらはロックダウンからヒントを得た商品であり、自宅で勤務をしながら、気軽につまめるスナック用アイスクリーム類としてアピールしている。(フードライター ラッド順子)