第400回食品経営者フォーラム、明治HD元社長・浅野茂太郎氏が講演
●統合は阿吽の呼吸
日本食糧新聞社主催の食品経営者フォーラムが14日、東京都内で開催された。第400回を迎えた今回は、浅野茂太郎明治ホールディングス(HD)元社長(食品産業中央協議会元会長)が講演。「激変の100年を駆け抜けた明治グループ」を主題に、旧明治乳業と旧明治製菓が経営統合に至るまでの歴史と、「阿吽(あうん)の呼吸」で成立した統合への経営判断の背景について解説し、経営者としての誇りと覚悟を語った。
1906年にわが国4番目の製糖会社として産声を上げた明治製糖は、その後製菓やゴム事業などへの多角化戦略、16年の明治製菓、17年の明治乳業の発足から戦前に至るまでのコングロマリット化や、戦後の復興期における統制経済下での基盤構築から、高度経済成長期における急成長や新商品開発を経て、バブル経済崩壊後も盤石な経営を進めてきた。
しかし、国内人口の減少や景気の頭打ちなど、社会経済が変化する中で、「明治」を冠した製菓と乳業のブランド分散や損失のリスク、市場拡大のチャンスなどを勘案して、一部上場の一流企業同士で、共通の課題である食品市場への対応を胸に、2007年春にまさに「阿吽の呼吸」で両社の経営トップ同士で統合検討を合意。08年9月の両社取締役会で決議し、09年4月には明治HDが発足した。
浅野元社長は「自然体」が大切なマインドであり、これまで工場、本社、支社などを経てきた職務経験が経営判断に生かされたと振り返る。現場を経験し、大局的な見地から半歩先の戦略を図ることがつながった。社員のため、取引先・顧客のため、社会・環境のため、株主のためといった、会社の進む方向に合っているかを判断軸にすることが肝心だ。これからの経営者へのエールとして、勘・度胸・やる気の大切さを強く示した。(小澤弘教)