メニュートレンド:グルメバーガーの日本的進化 チーズの海にどっぷん

2023.06.05 532号 01面
チーズにinしたハンバーガー 1,800円(税込み) ハンバーガー2個が並んでいるようにも見えるが、チーズバーガーを半分に割って盛り付けている。日販は20食の人気商品

チーズにinしたハンバーガー 1,800円(税込み) ハンバーガー2個が並んでいるようにも見えるが、チーズバーガーを半分に割って盛り付けている。日販は20食の人気商品

約100gのパティを2枚使用。押しつけて焼くことでパティがバンズからはみ出る大きさに仕上がり、カリッとした独特の香ばしさが出る

約100gのパティを2枚使用。押しつけて焼くことでパティがバンズからはみ出る大きさに仕上がり、カリッとした独特の香ばしさが出る

パティ2枚、オニオン、ピクルス、スライスチーズを挟み、トマトバーベキューソース、タルタルソースで調味

パティ2枚、オニオン、ピクルス、スライスチーズを挟み、トマトバーベキューソース、タルタルソースで調味

チーズソースは約150gを使用。ベシャメルベースの優しい味わいで、ポテトなどをつけて食べ尽くすお客がほとんど

チーズソースは約150gを使用。ベシャメルベースの優しい味わいで、ポテトなどをつけて食べ尽くすお客がほとんど

アメリカンダイナーらしいポップな雰囲気の店内

アメリカンダイナーらしいポップな雰囲気の店内

 大口を開けてもかぶりつけないほどのボリューミーなグルメバーガーは、日本でもすっかり定着した感がある。そして、多くの店では分厚く肉々しいパティでボリュームを演出し、チーズをとろけさせて、よりアメリカンに仕上げる方向にブラッシュアップをしているが、まったく別のベクトルでチーズバーガーを進化させたのがアメリカンダイナー「ANDRA」である。

 2つに割ったチーズバーガーが鉄板上でチーズの海にどっぷり漬かったビジュアルは、ひと目見たら注文せずにはいられない。インパクトあるこの一品は、同店の塩田龍太郎店長が数多くのチーズバーガーを食べてきた中で「途中からチーズが冷めて味が落ちる。手もベタベタになる」との不満があったことから考案した。どのように食べるべきか一瞬悩んでしまうが、「バーガーを手でつかんでチーズをたっぷりぬぐい、豪快に食べるのがおすすめ。チーズをスプーンでかける、という食べ方もいい」と塩田店長。とはいえアメリカンサイズゆえ、食べづらい女性客などはナイフとフォークで切り分けて食べているそうで、そんな食べ方もまた楽しい。

 鉄板上にたっぷり広がっているのはただの溶かしチーズではなく、パルメザン、モッツァレラ、チェダーの3種のチーズを牛乳でのばした、ベシャメルベースのチーズソースというのも秀逸だ。バーガーに絡めやすく熱々状態が持続し、味にクドさがないので飽きることなく最後まで食べられる。

 バーガー自体も特徴的で、「スマッシュバーガー」の手法で作られている。スマッシュバーガーは米国シアトル、デンバーが発祥とされるバーガーで、ミンチを練って成形するビーフパティではなく、ゴロゴロとした肉の形状を適度に残したミンチを押しつける(スマッシュする)ように香ばしく焼いて仕上げる。同店ではUS牛のハラミと肩ロースを各同量使用し、粗びき75%、細びき25%の割合で混ぜたパティを使用。鉄板に押しつけるように焼くことで、カリカリとした香ばしさと粒が大きいミンチならではのジューシーさが混ざり合い、多彩な食感が出る。食感の変化が楽しめるバーガーというのはなかなか魅力だ。

 チーズバーガーの真価をまったく損ねることなく、従来のチーズバーガーの概念を超えた発想で大胆に進化させた同店の提案はあっぱれ、である。

 ●店舗情報

 「American Diner ANDRA」

 所在地=東京都台東区東上野5-13-7/開業=2015年/坪数・席数=10坪・15席/営業時間=11時~14時、17時~21時。日曜休/平均客単価=1500~2000円/1日平均集客数=50~60人

 ●愛用食材・資材

 「GABAN セロリーホール」 ギャバン(東京都中央区)

 肉によくなじみ使いやすい

 同店ではパティに隠し味として混ぜ込んでいる。「うちのパティはハラミを使っていますが、同品の風味と香りはハラミの少し鉄っぽい味を和らげ、おいしさを引き立ててくれる。水分がない乾燥タイプなので、肉によくなじんで使いやすい。生鮮のセロリではなくあえて同品を愛用しています」と、塩田店長。

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