マクドナルドの本気度が見える肉に近いクオリティー 「マックプラント」が英でも

英マクドナルドは1月5日から、英国全土の約1300店舗で新商品の植物由来の代替肉バーガー「McPlant(マックプラント)」を販売開始した。ロンドンの地下鉄、バス停、ストリートの看板、新聞と至る所に多くの広告が出され、商品名にも「マック」が付けられるあたりに本気度がうかがえる。

ビヨンドミートと共同開発

マックプラントは牛肉や鶏肉などの肉類ではなく、植物性の代替肉で作ったパティを使用。パティはエンドウ豆をメーンの原材料として使用しており、フードテック企業のBEYOND MEAT(ビヨンドミート)と共同開発された。

マックプラントはビーガン商品として英国のThe Vegetarian Societyから承認を受けている。チーズもビーガン用を使用し、調理する際にはマックプラント専用のトレイやトングなどの器具を使い、肉類と触れないようにしている。

見た目は普通のバーガー。The Vegetarian Societyとビヨンドミートのロゴが明記されている(英マクドナルド公式サイトから)

参照サイト:
McPlant Nutrition & Ingredients | McDonalds UK
The Vegetarian Society UK

実食レポート…想像以上のおいしさ

筆者の近所のマクドナルドへ訪問し、マックプラントのセット(ポテトとドリンク付き)を注文した。単品で3.39ポンド(526円)、セットで5.09ポンド(790円)。単品でビックマックより10ペンス(15円)ほど高いが、割高感はない。

緑色のシンプルなパックをオープンすると、そこには普通のハンバーガーが。見た目は至って普通だ。肝心の味は、思ったよりおいしかった(思ったよりというのは、筆者の個人的経験によるとビーガン向け商品はおいしくない傾向が高かったので、期待値が低かった)。

見た目は普通のハンバーガー(筆者撮影)

味はビーガン向けで原材料が豆という情報が先にインプットされてしまっているがゆえに、豆っぽい味を探してしまったので、やはり肉とは違うなと感じたし、食感も肉の噛みごたえとは少し違う。

ただ、一緒に行った子どもに一口あげてみたところ「普通においしいし、肉みたいだ」と。味に集中するのではなく、おしゃべりしたりスマホをいじりながら食べていたら、そこまで気が付かないのではないか?と思うほど、肉に近いクォリティーだった。

環境にやさしい企業というイメージ戦略も

バーガーキングやケンタッキーに遅れたものの、ついにファストフードの巨人が「マック」の名を冠した本格的なビーガン商品を展開し始めた。英国全土ではなく、随時他国でも本格展開されると予想されており、近い将来に日本で販売される日が来るかも知れない。

シンプルでエコ感のあるパッケージ(筆者撮影)

増加するベジタリアン・ビーガンやフレキシタリアンなど、肉食を減らそうとしている層にリーチするだけでなく、「環境にやさしい企業」というイメージ戦略のためにもビーガン商品を投入する外食や小売が増えている。

マックプラントは世界で最も食されるビーガン商品になると同時に、食品業界の今後を占う試金石となりそうだ。(フードライター 武田高建)