中国漢方で風邪退治 症状に合わせた漢方常備薬

2006.01.10 126号 7面

ひと口に風邪といっても症状はさまざま。中医学(中国漢方)では、熱っぽい風邪(風熱型)、悪寒が強い風邪(風寒型)、胃腸型の風邪(風湿型)といった具合にタイプ分けし、それに合わせた治療法を当てる。風邪は予防が一番だが、かかってしまったら早期の対策が肝要。タイプに合った薬を「一刻も早く」が治療の鉄則だ。タイプの簡単な見分け方と、常備薬としての漢方を紹介しよう。

漢方の風邪薬といえば「葛根湯」を思い浮かべる人が多いのでは? しかし、これだけでは不十分。同じ病であっても個々の症状の違いによって治療法を変えるのが中医学の神髄だ。

まず、どのタイプの風邪なのかを見分け、最適の漢方薬を選ぶことが大切。「一刻も早く」飲めるよう、いくつかの種類を常備しておけば、憂いなしだ。

ここでは、分かりやすくするために、風邪のタイプを、色に例えて分類し解説する。

◆急な発熱、しかも高熱

急な発熱、しかも高熱の出るタイプは、「赤い風邪」と表現される。ウイルスなどが原因の口から入る風邪で、いま話題のインフルエンザもこのタイプに属する。のどが赤く腫れ、ものを飲み込むときに痛みを伴うことも。

治療は、熱を冷ましながら軽く発汗させる方法を取る。炎症を抑える金銀花や連翹、薄荷などが配合された「天津感冒片」が効果的だ。

◆鼻水、寒気でぞくぞく

鼻水が出る、背中がぞくぞくして寒気がする、頭痛がする、といった症状であれば「青い風邪」と表現される。寒い外気の中を薄着でいたことなどに対する生体反応で、皮膚から入る。

治療は、身体を温めながら発汗させるのが一番で、このタイプには「葛根湯」が適している。発汗効果の高い麻黄という生薬が配合されているのが決め手だ。

◆下痢や吐き気などの消化器症状

鼻水や咳といった風邪の症状のほかに、下痢や吐き気などの消化器症状を伴うものを「黄色い風邪」とする。

治療には、胃腸の機能を高め、体内に滞っている余分な水分を取り除く、かっこうや紫蘇、茯苓などの生薬が配合された「勝湿顆粒」を用いると良い。

◆年中繰り返し風邪をひく

年中繰り返し風邪をひいている場合、いったんひいた風邪がなかなか抜けない場合は、いわば灰色状態なので、「灰色風邪」と表現する。微熱や鼻炎、頭痛といった症状があり、胃腸も弱く、疲れやすい。

このタイプの人は、ストレスや睡眠不足から免疫力が低下しているので、免疫力を高め皮膚や粘膜を強化する作用がある黄蓍を配合した「衛益顆粒」のような処方を用いると良い。

衛益顆粒には、体表部にバリアを築き、花粉の侵入をブロックする作用があるので、いまの時期から服用しておくと、花粉症の予防に効果的だ。

なお、風邪にかかると、熱や発汗により、身体の水分を消耗するため、「麦味参顆粒」のような身体を潤す作用がある処方を併用すると良い。

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