ヘルシートーク:灯りナビゲーター・タレント 結城未来さん
ニュース番組でおなじみの結城未来さんは、「灯りナビゲーター」として照明で生活を豊かにするたくさんの方法を広めている。新刊『照明リフォームでお部屋の模様替え~たった数千円からできる明かり術~』が出たばかりの結城さんに、賢い食卓照明術などを聞いてみよう。
●リラックスもアイデアも照明次第
光の使い方一つで、疲れがとれてリラックスしやすい環境になったり、アイデアがひらめいたり…、意外と見落としがちなんですが、実は照明って、私たちの心と身体まで大きく左右するものなんです。
例えば、たき火やキャンドルの炎を見ていると、とても和んだ気分になりますね。これらの光は夕日と同じように赤みを帯び、低い位置から私たちを照らします。そうしているだけで、不思議なことに私たちの脳はギアチェンジ。リラックスモードに切り替えられるのです。人は、昼の太陽光のような「青白い光」を頭の上から浴びると活動的に、夕焼けのような「オレンジ色の光」を低い位置から浴びると、くつろぎモードに…そういう風に心も身体も反応するようになっているんですね。
●日本人は、どうして蛍光灯好き?
ところが、私たち日本人の住まいでは、このことをあまり重要視していない傾向があります。日本にやってきた欧米人に日本の印象を尋ねると、みなさん、「人は優しいし、食べ物はおいしい。でも照明だけは我慢できません」と、口を揃えます。
どうして日本人は一日中、青白い蛍光灯の下で生活するのか、勉強してみたところ、ここには歴史的な背景がありました。戦時中、白熱灯の“裸電球”のもとで暮らしてきた日本人は、部屋の隅々まで明るく照らす青白い昼光色の蛍光灯に戦後に出会って、感銘を受けました。それは暗い気持ちを吹き飛ばす、希望の光でもあったわけです。その後の高度成長期も、とにかく夜遅くまで一生懸命働くのが良しとされた時代。蛍光灯は気分と合っていたんですね。
けれど時代は変わり、暮らしが豊かになったいま、なぜかみんな疲れが出てきています。ストレスを訴える人、キレやすい子どもの話…「ゆっくり休みたいのに、なぜか休めない」。これは、私たちの気分と光の指令にズレが生まれているからではないでしょうか。だったら1日の中で、光の使い分けをしてみませんか。家に帰ってきてから寝る前は、スタンドライトなどを低い位置に置いて、床などを照らしましょう。光が自分に直接あたらないことが大切です。さらに光の色を、昼光色から電球色に取り替えれば眠る前の灯りの準備は完璧。ぐっと気分がリラックスするはずです。
●“あのレストラン”をマネしてみて
灯りは、食事にも大きく影響します。ここでも使い分けが有効なんですよ。素敵なレストランに入った時のことを思い出してみてください。テーブルにはなごみ系のオレンジ色の光。でも、厨房のほうをちょっと覗いてみると、青白い光が漏れている感じがしませんか。これを家庭でも活用してみましょう。キッチンでは味覚を鋭くする青白い光で、しっかり味見。蛍光灯で隅々まで照らしたほうが、調理作業もしやすいですよね。そしてダイニングのほうは、気持ちをくつろがせ、時間の経過も忘れてリラックスさせてくれるオレンジ色の光を。これにはもう一つ効用があるんですよ。オレンジ色の光(蛍光灯の電球色か白熱灯)には、味覚を鈍感にする作用も。「ちょっと挑戦して、あれ? きょうは微妙なお味になっちゃったかな~」の時も、助けてくれます(笑)。
灯りを賢く使い分けて、楽しい家族団らんの時間を過ごしてください。
○プロフィール
ゆうき・みく 灯りナビゲーター・タレント。
東京都生まれ。フジテレビ「めざまし天気」「どう~なってるの?!」、TBS「ニュースの森」「ジャスト」、テレビ朝日「やじうまプラス」、NHK「生活ほっとモーニング」など、多数のテレビ番組の司会やレポーター、CMなどで活躍。その一方で、インテリアコーディネーター、色彩コーディネーター、照明コンサルタントなどの資格を生かして、灯りナビゲーターとして照明の大切さを提唱中。
◆結城さんのお話を直接聞くことができるセミナー
「頭がよくなる照明術」
◎朝日カルチャーセンター(東京・新宿住友ビル)
11月17日 15時30分~17時30分
電話03・3344・1947 http://www.acc-web.co.jp
「灯りを使って元気美人になる方法」
◎東急セミナーBE(東京・渋谷東急プラザ)
10月11日、11月8日、12月13日の全3回 19時~20時30分
電話03・3477・6277 http://www.tokyu-be.jp