滋味真求:気楽に食べる本格広東料理 横浜「三徳花」

1996.12.10 15号 18面

『三徳花』とは変わった店の名である。聞くところによると店主は、中国料理界のスーパースター周富徳さんの親父さんの代からの弟子で、周富徳さんとは歳も近いこともあり、長年、周さんの料理教室などの助手を勤めるなど、親しくお付き合いをしているとのこと。

なるほど店内には周富徳さんからの写真入り開店祝いの色紙も飾られている。ところでこの店の名だが、これは店主の三角シェフの三と、周富徳さんの徳の字を合わせ、この店が満開の花のように咲き誇るよう、花の字をつけ『三徳花』とネーミングしたとのこと。

店は東横線・綱島駅から綱島街道を新横浜方面へ向かい、鶴見川に架かる大綱橋を渡り、斜め右側の旧道へ入り三〇〇mほど行った左角にある。一見何の変哲もない中華料理屋のような店構えであるが、どうしてどうして本格的廣東料理を何のてらいもなく出す店である。

それもそのはず、この道三〇数年、そして二~三の中国料理店の料理長を一〇年も勤めた店主が、一念発起し一年半ほど前に開店し、自ら鍋を振るわけだから不味かろうはずがない。予約すれば、廣東料理のフルコースが食べられるわけだが、そんな肩ひじ張った料理より、何気ない廣東の家庭料理が美味。旨い中国銘酒を傾けながら、廣東家庭料理を味わうお勧めの店である。

店内には周富徳さんオリジナルの『海老のマヨネーズソース』『牡蛎の香り揚げ』などの菜単(献立)の短冊が張られているが、店主が得意の内臓料理が旨い。『豚足の廣東風しょうゆ煮・六〇〇円』『豚の胃袋・九〇〇円』『牛ハラミの黒豆ソース炒め・一三〇〇円』いずれも美味である。

予約すれば周富徳さんも絶賛した健康スープ『牛テールの薬膳蒸しスープ・一五〇〇円』が味わえる。牛のテールを大棗、枹杞子、山薬、蓮根などの生薬と数時間蒸し上げた澄んだスープだが、身体の底から元気がわき上がるようだ。また料理の合間に頂く『ニラまんじゅう・八〇〇円』が秀逸。ギョウザよりボリュームがあり、焼き具合も香ばしくいくつでも食べられる。オミヤゲにすると飲んべエ亭主の株が上がることうけあい。

店内は掘ごたつ式のテーブル一八席、フロアは二〇席と手狭だが、開店一年半で早くも綱島に旨い店ありとの評判を高め、都内から車を飛ばして来る客もあるほど。

酒は中国銘酒、洋酒と一通り揃っているが、店名の三徳花をつけた焼酎が内臓料理と相性が良く、ついつい飲みすぎてしまうほど。

宴会は三〇〇〇~一〇〇〇〇円。ランチは七三〇円より。

営業時間=11時30分~14時。17時~22時。

定休日=水曜日。

場 所=横浜市港北区樽町二‐三一二‐六。Tel045・531・7040

乗り物=東横線綱島駅下車、徒歩八分。駐車場あり。

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