見直そう水産素材 青魚の脂肪(DHA)、海草類(ビタミン、植物繊維)

1995.11.10 2号 7面

青物の魚に多く含まれる不飽和脂肪酸、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)がここへきてさらに注目されている。EPAはいち早く紹介され、医薬品原料として認可(一九九〇年)され、DHAは栄養素としての評価だが、これはEPAの発見と研究が先に進み、DHAが後になったためで今はDHAの注目度が高い。

DHAの今後の需要として大手水産系企業は「今後は医薬品分野への供給が課題(マルハ、ニッスイなど)という。

このEPA・DHAを多く含む魚はマグロ(特にトロの部分)、ハマチ(ブリ)、カツオ、ニシン、アジ、サバ、サンマ、イワシ…など。

EPAが医薬品として認可されたのが一九九〇年、これより遅れて発見されたDHAの研究が本格化している。当初EPAがコレステロールを引き下げ血管に壁をつくらない(血管を強くし、血の流れをよくする)ことから動脈硬化予防(=高血圧、心筋梗塞など成人病予防)がいわれていたが、近況はDHAに話題が集中する。これはDHAだけの特徴としてマグロなどの脳や眼窩脂肪(眼の裏側)に純度の高い脂肪が含まれ、従来廃棄処分していた部分が重要な素材として評価されることになったのも一因。

このDHAはEPAと同じオメガ三系高度不飽和脂肪酸の一種で化学名のドコサヘキサエン酸が略称されたもの。いわゆるカツオ、マグロの頭部にも多く含まれる。DHAの効能は、脳の神経細胞を活性化する必要成分として、脳関門を通り直接吸収される栄養素の一つというもの(EPAにない浸透力という。(財)相模中央化学研究所・矢澤一良農学博士)。人の体では脳の灰白質の他、網膜・神経組織・母乳への有効性、さらに脳活性化物質としての作用も研究成果として報告されている。

ともかく青ものの魚を毎日のように食べることがベストなわけだが、不足がちな人に向けてカプセル状の栄養補助食品がある。

他方、同じ海の栄養素としてビタミン、ミネラルを多く含む海藻がある。この脂質分はどうか? データによると脂質含有量は野菜より少なく一~四%。この脂肪酸組成は緑、褐、紅藻ともにパルミチン酸が二〇~三〇%と多く、不飽和脂肪酸は緑藻類でオレイン酸、リノール酸が一〇~三〇%分布。高度不飽和脂肪酸は紅藻類に多く炭素数20のアラキドン酸は六~二〇%、EPAが二六~五六%含まれる。特にノリは全脂肪の五〇%もEPAを含み、他の海藻は低脂肪だが体に良いとされるEPAの他に褐藻、紅藻でDHAも検出されている。

豊富なタンパク質、ビタミン、ミネラル、また食物繊維は含有率で一〇位以内に海藻が六種類入っており、最近では肥満、心臓病、糖尿病、大腸ガン、便秘、胆石症の予防にも注目されている。

いずれにしろ、自然界の食材料にタップリと栄養素が含まれている。

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