日本リサイクル運動市民の会「らでっしゅぼーや」にみる有機作戦
“オーガニック(Organic)”とは、「有機の」「有機生体物の」という意味を表す英語だ。欧米では、生産・流通面などで定められた厳しい基準を満たしたことを専門の認証団体がチェックした有機食品を、“オーガニック食品”としマークを付け、一般商品と区別している。世界の動きに比べて、日本の有機食品はまだあいまいな部分が多いといわれるが、独自の生産基準を設け、商品管理を推進する業者も登場するなど、このところ活発な展開が目立ってきた。これからが旬の日本の有機食品を追跡した。
有機食品の宅配組織「らでぃっしゅぼーや」は昨年、「Radix」という独自の生産基準を設けた。農業編だけでなく、水田稲作編、畜産編、漁業編、加工食品編からなる非常に詳細な項目をもつ内容だ。
湿度が高い日本の気候・風土では、農薬や化学肥料を全く使わないで農産物を生産することは、非常に難しい作業とされる。そこで実際には、有機肥料を用い、できる限りの範囲で農薬や化学肥料の使用を抑える努力をした物が、有機農産物流通の主体となっている。
同会の徳江倫明会長はこうした状況をとらえて、「“有機”の生命線は、完全に無農薬かどうかにこだわることでなく、栽培や製造過程の真実の情報公開。生産・流通・消費者みんなの理解と信頼関係が継続的に活動を行っていくための命綱ですから」と強調する。
確かに現実からあまりにも隔った規約では継続的な展開は望めない。「Radix」は、日本の生産現場と消費者のニーズがかみ合う範囲を摸策し、作られた、日本の有機食品基準黎明期の試みといえる。
公害問題と環境問題の違いはどこにあるのだろうか。公害問題は、加害者と被害者がはっきりしているので、原因を取り除いたり、責任を問うのも簡単だ。ところが「オゾン層破壊、温暖化、砂漠化…といった環境問題は、すべての人が関わっており、すべての人にふりかかってくる。そうした事態をただ嘆き、批判するのでなく、具体的な解決策を講じようと。それで二○年前、有機食品に取り組んだんです」と徳江会長は言う。
「らでぃっしゅぼーや」は、いまや会員数二五万人と業界最大手に成長、昨年秋にはオーガニックスーパー「マザーズ藤ヶ丘店」をオープンしている。
“東京キャベツ”は、身体にやさしい有機・無添加素材をつかった普段着の味が評判を呼んでいる惣菜店だ。「わたし自身が働く母親として家族に食べさせたいと思うものを出そうと考えたら、有機野菜に行きついた」と紀文食品(株)東京キャベツ事業部部長の山本真砂美さん。
惣菜業界の市場合戦は熾烈だ。旬を先取りしてライバル店は2月末から菜の花サラダを出す。でも同社は畑の事情で4月中旬まで待たされることも。「それが本来の旬の感覚かと、学ぶことが多い」と山本さん。