おはしで防ぐ現代病:「痛風」注目の食物繊維

1997.10.10 25号 8面

痛風の足の痛みはグルメの証。とはいえ、いまやこれはすっかり庶民病。四、五○代の男性中心に年々増加しており、過激なダイエットをする女性にもみられるという。それにしても「風に当たっただけで刺されたよう」とは、あまりにも痛すぎる飽食のツケ。放っておけば、痛みの起こる関節にしこりができたり、腎臓の働きが低下して腎不全になったりする。痛風予防の秘策は、とにかく食べ過ぎないこと。とくに魚の卵やレバーなどの摂取制限で尿酸値を高くしないことが必要だが、さらにキチン・キトサンという食物繊維が尿酸値を低下させるという。いま注目のキチン・キトサンの痛風予防効果について、東京農業大学農学部の和田政裕助教授に聞いた。

Q 痛風はどうして起こるのですか?

A 痛風という病気を引き起こすのは、尿酸という物質。そもそも尿酸とは、新陳代謝の結果として生じる老廃物で、本来は尿と一緒に排出されます。しかし、排泄機能の低下や、アルコールやエネルギーのとり過ぎや、ストレスによって尿酸が産生過剰となり、痛風(高尿酸血症)になるのです。

Q キチン・キトサンはどうして尿酸値を低下させるのですか?

A これは、キチン・キトサンが胃の中で、尿酸のもととなる核酸を吸着して腸を通過し、そのまま体外に排出させるため。その証拠として、キチン・キトサンを摂取すると、排泄物の中に含まれる核酸の量がかなり増えることがわかっています。この吸着能力は他の食物繊維よりも優れています。このようにキチン・キトサンは痛風の予防や治療に非常に有効といえます。食後にとることによって尿酸値の上昇を抑制することができますので、きつい食事制限に苦しむ人もだいぶ楽になるのではないでしょうか。

Q キチン・キトサンの正体は何なのですか?

A キチンやキトサンの原料となる物質はエビやカニの殻に含まれています。両者の違いを簡単にいえば、キチンとはあまり加工されていない、カニやエビの殻など自然界に存在する状態に近い動物性の食物繊維。キトサンとはキチンに化学処理を加えて作られたものです。摂取するときは、キトサンよりも自然に近い状態のキチンの形でとるのが理想です。たとえば、昔の人はカニやエビの殻を砕いて焼いて食べ、キチンを自然ととっていました。ただ、現代ではそのような機会はなかなかありませんので、カニの殻から作られた保健食品でキチンをとればよいでしょう。

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