安心を見に行こう!ニッポンの工場 加藤美蜂園本舗・横浜工場

1998.09.10 36号 9面

漢方薬の原点ともいえる“本草綱目”に、「万病に効き常用すれば不老長寿の薬である」とまで記されている栄養豊富なハチミツ。ご存じの通り働き者のミツバチが食品に仕立ててくれる。とはいっても人間がもう少し手助けしておいしくて安心できる食品として消費者の手元に届けられる。ハチミツのアレコレを、サクラ印でおなじみの(株)加藤美蜂園本舗・横浜工場(竹内清和工場長)に伺った。

まずはミツバチのハチミツ作りのことから教えてもらおう。

「ミツバチの家族はとても協力的で神秘的なんです。年功序列に分業制になっていて若いミツバチは巣の掃除をしたり、働き蜂が取ってきた蜜を受け取ったりと巣の中で働きます。成長してから巣の外の花蜜取りの仕事に就くんです。

働き蜂は花にたどり着くと小さな舌で蜜を蜜袋に吸い込み、いっぱいになるまで時には一千もの花を訪れるともいわれています。昔は田んぼにレンゲの花がたくさんあったでしょう。レンゲの花蜜につられてミツバチが来て、花から花へと移り、受粉して実が成る。ミツバチがいてこそ、毎年いいおコメが出来るんです。

牧場のクローバーやウマゴヤシという牧草もそうです。ミツバチが牧場で飼われていると牧草の花の蜜を集めます。牧草は種を結びまた来年育つ。広い牧場では種まきの代わりにミツバチを飼って牧草を育てるんです。そして牛も育つ。おいしい牛肉もミツバチの採蜜活動なしでは食べられないんです。コメ、肉、ハチミツと自然界の神秘的な関係ですよね」。

「同じ巣のミツバチは一度花を決めたらみんな同じ花から蜜を取ってきます。だから色々な花の蜜が混じることはないんです。

いつも同じ味、そしておいしい味のハチミツを作るためにサクラ印の工場では食べやすいアカシアの花蜜をベースに味の良いレンゲの花蜜や香りの良いクローバーの花の蜜をブレンドしています。ハチミツは常温で何年たっても腐ることはありません。色、味、香りは違ってきてしまいますが、糖としては問題なく使えます。もしご家庭で白く固まって残っているのがあったら、熱をかけてもとの液状に戻して、料理の調味料として使って下さい。

栄養豊かで保管も常温でオッケー、まさに非常食としても最適です。各種ビタミンやカリウム、鉄などのミネラルを多品種含み、消化が早く口に入ってから数十秒で吸収が始まります。ストレス解消も夏の疲れた身体も、ハチミツは優しくいたわってくれますよ」。

サクラ印ハチミツでは中国のレンゲ蜜やアルゼンチンのクローバー蜜を中心に世界各国から輸入している。長い船旅を経て日本に来るハチミツ。安全性は保たれているのだろうか。

「船が着いてもすぐには使いません。自社の保税倉庫に一度保管し、品種や純度など契約したハチミツと同じかということや、農薬、生菌などの検査をします。産地でも検査をしますから二重の検査を通った安心できる物しか日本に入りません。

なぜ、輸入なのかというと、ハチミツは世界的商品なので、国によって採集する品種を国際分業の形で分けます。多くの花蜜を集めようとしますから多くの花と蜜が必要になります。日本の場合、蜜源となる花畑がなくなり、それに従って養蜂家も少なくなりました。年々減り続けているのが現状です。サクラ印の工場ではハチミツの品質を守る技術、設備がありますからおいしい純粋なハチミツだけをできるだけ低価格でお届けしています。

検査で安全性は保証されますが、まだ巣の片や木片、葉片などが混じっていることがあります。そこで溶解オーブンを使って溶かし、フィルターをいく度も通し異物を取り除きます。ハチミツは加熱し過ぎると、鮮度や風味も損なわれてしまうので、温度をなるべく上昇させない低温メルティングという独自の装置で溶かしています。そして容器に詰めるまで外気に触れることはありません。最後にもう一度製品品質検査を行い、やっとお客様にお届けすることができるんです」。

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