百歳への招待「長寿の源」食材を追う「サバ」

1999.03.10 42号 11面

サバはサバ科の魚で世界各地で獲れ、加工適性も広く人気が高い。日本近海ではホンサバとゴマサバの二種類が獲れる。

ホンサバはマサバ・ヒラサバとも呼ばれ、沿海州・サハリン・北海道から九州に至るまでの広域で漁獲される。腹側が銀白色に輝いているのが特徴で、サバの中心的な存在である。ゴマサバは体形が丸くマルサバとも呼ばれ、腹部にゴマのような黒い斑点があり、日本中部以南から台湾に至る水域でよく獲れる。ホンサバは海岸線寄りにすむのに対し、ゴマサバは沖合いにおり岸に近づくことはない。外国ではサバ属をマツカラルと呼び、産地によってパシフィックマツカラル、サウザンマツカラル、スパニッシュマツカラルなどと分類している。

サバの成長は、体形二五~三〇センチくらいのものは満二年、三〇~三四センチくらいのものは満三年、三四~三八センチくらいのものは満四年とされ、時には六~七年の大物もみられる。

ホンサバの生息する水温範囲は七~二三度と広く、多くは一〇~二〇度の範囲。ゴマサバはホンサバより暖かいところを好み、一五度以下の水域にはあまりみられない。サバの漁獲高は七七年には一三五万トンも獲れ、大衆魚として人気が高かったが、次第に減量し、現在ではノルウェー産の冷凍品が安値のため、大量に出回っている。

欧米ではサバを高く評価しているが、日本では下魚視している。フランス・イタリア・スペインなど海に面した国々は、サバを非常に好んで食べる。食べ方もイギリスではクールブイヨンで煮て青すぐりの裏ごしを添える。フランスでは白ワイン蒸しが喜ばれ、アメリカではサバのくん製に人気が集まっている。

サバはa生き腐れbといわれるように鮮度落ちが早く、腐敗しやすい性質を持っている。これはサバ自身の持つ分解酵素の作用によるものである。正体はうま味成分のヒスチジンで室温のまま保存しておくと酵素の作用で分解し有害物質のヒスタミンに変わり、じんましんや腹痛の原因となる。

この鮮度落ちの早いことから各地でいろいろな食べ方の工夫がみられる。生きサバは直ちに塩サバにされ、サバずしとして加工される。京都のサバずし、紀州のなれずしは有名だ。また料理法として関西では塩サバ、関東ではみそ煮が代表的。そのほか、焼く・煮る・揚げる・酒蒸し・酢蒸し・煮なますなど。

サバの尾に近い部分の皮と身の間には、皮膚炎を防ぐビタミンB2が多く含まれている。骨粗しょう症に効果的なビタミンDを始め老化防止に役立つビタミンEも多く含まれているので、お年寄りにはもっと食べてもらいたい魚である。

その上、血液中の脂肪(コレステロール)を引き下げ心筋梗塞や脳梗塞の予防によいとされるEPAや、頭の働きを良くし記憶力の低下を防ぐDHAも多い。この両者の作用で、大腸ガンも減少することが判明してきた。

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