おはしで防ぐ現代病:黒酢のがん予防効果、タマノイ酢が日本癌学会で発表
古くから健康へのさまざまな効能が知られている黒酢。これまで抗酸化作用や動脈硬化を防ぐ働きがあることなどが明らかになっている。そんな中、このほど黒酢にがん予防効果があることが初めて発表され、注目を集めている。ヒトと動物の両方で黒酢エキスの実験を行ったところ、がん細胞の増殖およびがん前駆病変を著しく抑制することが分かった。その画期的な研究内容をみてみよう。
タマノイ酢(株)(大阪府堺市、電話072・238・1021)は、京都大学・大東肇教授グループ、金沢医科大学・田中卓二教授グループらの協力による研究で、黒酢にがん予防効果があることを明らかにし、9月26日、パシフィコ横浜で開催された第六〇回日本癌学会総会で発表を行った。
今回発表されたのは(1)「黒酢の、ヒトがん細胞に対する増殖抑制効果」と(2)「黒酢の、動物に対する大腸がん予防効果」の二項目。
(1)のがん細胞増殖抑制効果に対する実験では、ヒトの大腸がん・乳がん・肺がん・膀胱がん・前立腺がんを培養して細胞の増殖を調べた。黒酢を添加しない場合の増殖を一〇〇%とすると、培養液中に濃度〇・一%の黒酢エキスを添加した時、すべてのがん細胞の増殖率は一〇%以下に抑制された。
また(2)の大腸がん前駆病変の発生に対する黒酢の効果(動物の個体を使用した実験)では、ラットに発がん物質を投与し、四週間後に、大腸がん前駆病変(将来、大腸がんとなる可能性の高い細胞群)の発生数を調べた。飲用水として水を与えていたラットの大腸がん前駆病変の平均発生数を一〇〇%とすると、〇・二%黒酢エキスを飲ませていたラットでは、大腸がん前駆病変の発生率が三三%まで抑制された。
○「黒酢がなぜ身体に良いのか?」を探る、その他の研究結果
同社中央研究所では、酢の効果・効能を科学的に明らかにするさまざまな研究を行っており、これまでに「黒酢の抗酸化作用」、「黒酢の抗高血圧作用」についても研究を進め有用なデータを発表してきた。今後は、がんの発症が食生活と深く関係していることを踏まえ、日常生活の中でどのように酢を摂るのが有効かなど、より具体的ながん予防を提案していくとしている。
◆黒酢の抗酸化作用
私たちの体内の活性酸素は、侵入してきたウイルスや病原菌などから身体を守るための重要なものだが、増え過ぎてしまうと、がんや糖尿病などさまざまな疾病の原因となる。同社の研究では、黒酢から有効成分を抽出して作った黒酢エキスが腫瘍の発生を抑制することが分かった。また黒酢が他の米酢や果実酢などに比べ強い抗酸化力を有することも明らかにされている。
◆黒酢の抗高血圧作用
黒酢にはアミノ酸や有機酸が豊富に含まれており、動脈硬化を防ぐ働きがある。また血液の粘度を軽減しサラサラにする作用もあり、高血圧の発症を抑えると考えられている。
同研究所では血圧を上げる物質を作るアンギオテンシン1変換酵素の阻害効果を調べ、黒酢を高血圧自然発症ラットに与えると、黒酢を飲んでいないラットより血圧が上がりにくいことを明らかにしている。