「百財元気」主婦の財布

1996.05.10 8号 5面

今回は「歳」を「財」に変えて「財布」の話。

今まで何個の財布を使ってきただろう? 財布は使っているうちにだんだん馴染んできて、早々には新しいものと交換しにくくなる日常品のダントツではないかと思う。

「主婦の財布」という言葉がある。小銭だらけの財布のことだ。スーパーで買い物をするとどうしても一円玉や一〇円玉が増えてしまう。はたまた男衆が重たいからという理由で玄関先に置いていく小銭の受け入れ先としても主婦の財布が一役買って出る。子どものころ、おこずかいが出てくるありがたい財布もこの財布だった。しかしこの玉手箱のような「主婦の財布」もこの頃では事情が違ってきているようだ。

カード社会の勢いは主婦の毎日の買い物でも幅を効かせ財布の中に小銭が減り、カードの枚数ばかりが増えていく。公衆電話も電車の切符もカードで済ます。いまの社会では小銭が活躍する場面が減ってしまった。そして小銭を使って買い物をすることはスマートではないとさえ思われているようだ。

子どものころどうしても財布を持ってみたかった。大人の象徴のように思えた。お札よりも小銭をたくさん入れて重くジャラジャラ言わせながら歩くのが嬉しかった。いまの子どもたちも同じように思っているのか、それとも母の財布の中身を見てカード入りの財布にあこがれるのか。

自分で財布を選べるいまは気に入ったものを長く使いたい。私はもちろん小銭もたくさん入る大きな財布がいいな。

(丸)

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