百歳への招待「長寿の源」食材を追う:西洋人参
今回は、中国の漢方薬の中から対照的に、近年人気急上昇の西洋人参、古典的に愛されているノイバラを紹介したい。前者は富裕者層、後者は庶民にまで人気がある。ともにパワーを付け、この時期の疲労回復に効果的だ。
(食品評論家・太木光一)
西洋人参はアメリカ人参・洋参・花旗参・泡参・広東人参など別名が多い。英語の呼び名はアメリカンジンセン、中国語でシーヤン・シエン、日本語ではセイヨウニンジン。
中国の人参のすばらしい効能がヨーロッパに紹介されたのは一七世紀末である。一七一四年宣教師のジャルトーが「ダッタン人参についての記録」という小論文をイギリス王立協会誌に発表して以来、中国人参に対するヨーロッパ人の関心が非常に高まった。
この論文を見たケベックに住む宣教師ラフィトウは、カナダ南部のイオキオス・インディアン領区によく似た植物のあることを発見、植物学の権威リンネにもたらされ、パナ・クィン・クィンク・フォリウムと命名された。
以来、アメリカ人参は香港をへて東南アジア各地に輸出され人参同様に用いられてきた。本草綱目拾遺に「西洋参は味の点で『白皮泡了』のようで人参に類するものであるが、性は寒で糯米飯上で蒸して用いる」と記されている。
原植物の西洋人参は多年生の草木で全体は無毛。根肉質、紡鐘形で分岐状である。根茎は短く円柱形。長さ一・六センチほど。掌状の複葉が三~四枚出て先端は尖っている。
花期は7月で、果熟期は9月である。採取として三~六年物の根をとり、分岐を取り除きよく乾燥させる。外皮の部分は水をかけて取り除く。これを再び硫黄燻してさらに晒し干しする。白い粉がふいてくるので粉光西洋参とも呼んでいる。
製品には粉光西洋参と原皮西洋参があり、後者は野生で親指大の大きさで外表は黄色。しかし気香味は濃厚である。西洋人参の現在の主産地はアメリカ、カナダとフランスである。効用主治として益肺陰・清虚火・生律止渇・治肺虚久嗽・失血・咽干口渇・虚熱煩倦などがあげられる。
利用法として内服または煎湯であり、強壮作用と鎮静作用を併せ持っている。成分としてサポニン配糖体を五%含み、その組成は田七人参によく似ている。従って利用法も田七人参に準ずる場合が多くみられる。薬剤とみる場合、性味甘、苦、涼であり、樹脂分や揮発油分を多く含む。このため強壮・鎮静作用を持ち、益気生律と潤肺清熱の効用が期待されよう。また口乾口渇・欠力症などに用いてもよい。
薬用以外に薬膳食法として薬茶・薬湯・薬粥などに用いられる。
・薬膳利用…西洋参田鶏湯
田鶏九〇グラム、西洋人参一五グラム、百合三〇グラム、麻黄三グラムを用意しスープをつくる。鉄鍋ではなく陶器を使用する。
効用として養肺陽・体質増強
・薬茶利用…西洋人参茶一~二グラム。薄片にして沸騰水に二〇分間入れ、毎日一回服用
益気生律・潤肺清熱・胃陽虚・乏力ほかに
・参芦茶…西洋人参の薄片を沸騰水に三〇分つけて飲用。補気強腎・健脾益肺・延年に効果大
そのほか薬粥に利用しても同様の効果が期待できる。