万能選手「アミノ酸」 若返り、頭脳活性、免疫力アップ、筋・持久力アップ…

2003.04.10 92号 2面

髪の毛や皮膚、爪、内臓や骨、筋肉、血液に至るまで人間の身体は水分を除くとそのほとんどがアミノ酸で出来ている。鏡に映った自分の姿そのもの、身体の一部として見えているんだけど、なんだか分からないアミノ酸。「アミノ酸とはなんだろう」から賢いとり方術まで、健康維持の「万能選手、アミノ酸」を研究したい。

●必須アミノ酸 それは「タンパク質の最小単位」

アミノ酸とは、タンパク質を作っている最小単位のこと。どんなタンパク質も、分解するとアミノ酸になる。太古の昔から地球に存在する最も古い栄養成分で、すべての生命の源として利用されている。

人の身体を見てみると、六〇~七〇%が水分で、二〇%がタンパク質などのアミノ酸、そして炭水化物や脂質などで出来ている。体重五〇キログラムの人なら、約一〇キログラムがタンパク質。髪や皮膚、爪、骨、筋肉、血液、神経、内臓などすべてタンパク質が含まれており、重要な機能を担っている。

私たちの身体の大部分はアミノ酸で構成されているといっても過言ではないのだ。

●アミノ酸とはなんだろう 「一つ」のせいで「八つ」がダメになる!?

最近流行のアミノ酸だが、アミノ酸とは一つの成分を指すのではない。自然界では約五〇〇種類ものアミノ酸が発見されており、人体を構成しているのはこのうち二〇種類。これが複雑に組み合わさって一〇万種類ものタンパク質を作っている。

二〇種類のうち九つが体内で合成できず、食事などで補給しなければならない。だからこのアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼ぶ。その栄養価は、九つの中で一つでも不足する必須アミノ酸があると、それによって決まってしまう。

分かりやすい例として、「樽(たる)」を例に考えてみよう。必須アミノ酸という“九枚の板”からできた樽があるとする。板のうち一枚でも他より短い板があると、水を満杯にしようとしても水はそこから流れてしまって、短い板に合わせた分量の水しか入らない。

同様に九つのうち、含有量の少ない必須アミノ酸があると、そこから水が漏れるように他の必須アミノ酸がいくら十分にあっても全部無駄になってしまうのだ。

これを防ぐためには、多種類のタンパク質を取ることが必要。個々の欠点を補完しあい効率よく栄養を摂取できることになる。樽の水を満杯にできる、すなわち一〇〇%必須アミノ酸を摂取できる食品もある。それは何かというと「卵」。一方、日本人の主食おコメはリジンが不足気味。逆に豆類にはリジンがたくさん含まれる。だから、「ご飯とみそ汁」や「納豆などの大豆製品」を組み合わせて食べる和食スタイルが確立された。伝統的食生活もアミノ酸制覇を考慮してのことだったのだ。

●アミノ酸の機能 食味、医薬、スポーツ、美容の世界にも

アミノ酸の可能性は幅広い。食品の味である「うま味」「甘味」「苦味」を構成。医療の世界では「アミノ酸輸液」が手術に欠かせなかったり、肝不全や腎不全に役立つほか、医薬品の原料にもなっている。その他スポーツの世界、美容の世界、健康の世界などあらゆる場面で活躍している万能選手なのだ。アミノ酸の機能を整理すると、(1)免疫力アップ(2)美容(3)ダイエット(4)筋・持久力アップ(5)脳活性‐‐などが挙げられる。

免疫力については、グルタミンとアルギニンが免疫細胞を強化。

美容、ことに健康な肌の保持にはコラーゲンが最も重要で、コラーゲンの主原料であるプロリンとアルギニンが必要。

ダイエット効果には、リジン、プロリン、アラニン、アルギニン。運動とセットで脂肪燃焼を促進してくれる。運動の三〇分前に摂取すると有効。

筋・持久力アップには、疲れのもと乳酸を抑え、筋疲労を抑制してくれるバリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニンを摂取。

脳活性には、集中力をアップするためにチロシンやヒスチジン、グルタミンを。一方、脳をリラックスするためにはトリプトファンが有効だ。

●アミノ酸関連の新刊本 ナターシャ・スタルヒン著『アミノ酸で10歳若返る』講談社+α新書

同書は、ホリスティック栄養学の見地から、正しいアミノ酸バランスを紹介する。

生命のカギを握るタンパク質の重要性を取り上げ、肉、魚、卵の良質なタンパク質の必要性とバランス良く摂取することの効果を解説。アミノ酸摂取方法を分かりやすく紹介しながら、「食べるものはしっかり食べて、若さ・健康・美しさを取り戻してほしい」という思いを込めた一冊だ。

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