Dr.寺田の大腸・肛門診察室:排便時に血が混じる、何科で診てもらえば?

2003.04.10 92号 13面

食の欧米化により大腸がんの増加が叫ばれている現代、自分の大腸や肛門に不安を抱えている人は少なくない。患部の場所柄、人に相談できず、症状をこじらせ大腸がんなど大病に至るケースもある。寺田病院(東京都足立区)胃・大腸・肛門病センターのインターネットサイト『大腸・肛門どっとコム』の「メール診察室」は、そんな悩める現代人の寺子屋的存在。当コーナーでは「メール診察室」に実際に寄せられた問答を紹介していく。

Q:排便時に血が混じる、何科で診てもらえば?

最近、排便の時に血が混ざります。自分では「痔かな……」と思っているのですが、不安です。大腸検査は必要でしょうか? また何科に行けばよろしいでしょうか?

A:がんを疑うなら大腸カメラの専門家へ

排便時に出血する病気として腸の病気と肛門の病気が考えられます。いわゆる痔を痛いものだと思っている人が多いのですが、痔には内痔核と外痔核というものがあり、内痔核は肛門の奥にできるため、痛みはあまり伴いません。便がこすれることにより、むくみが強くなり出血するようになります。

また、硬い便をした後や、強くいきんだ後に肛門粘膜が裂けると、いわゆる切れ痔(裂肛)となります。切れ痔は強い痛みを生じます。

内痔核の脱出(脱肛)がひどくなると肛門科に受診される人が多いのですが、排便時の出血は自然と止まってしまうこともあるため、診察に行かず、様子を見てしまう人が多いのも現状です。たしかに痔では命までとられませんから(出血がひどい場合は除く)、症状が落ち着いている間は市販の軟膏薬や便を軟らかくして様子を見てもよろしいと思います。

しかし、「ただの痔だと思っていたら……」ということもあるのです。痔がひどくなる原因として便秘があげられますが、便秘の原因として大腸の狭くなる病気、いわゆる「大腸がん」があります。つまり、「痔かな……」と思っていても排便時の出血があった場合は大腸検査をおすすめします。大腸に出血病変がなければ、肛門の疾患として安心して暮らせますし、検査で症状を呈さないようなポリープが見つかることもあります。

さて何科にいけばよいかということですが、検査でつらい思いをするのは非合理です。大腸カメラの専門家を探しましょう。しかし、胃腸科と肛門科の両方を受診するのも大変ですから、肛門の診察と大腸カメラの両方得意な専門家に相談するのがよいでしょう。

●寺田先生への質問や、当コーナーへの感想をお寄せ下さい。

▽寺田病院 胃・大腸・肛門病センター=東京都足立区本木西町18‐16、フリーダイヤル0120・77・0874、ホームページhttp://www.daichou-koumon.com

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