喘息!根本の原因も取り除く中医学の考え方
秋の深まりとともに、日ごとに寒さも増し空気も乾燥してきます。呼吸器にとって寒さや乾燥は大敵、喘息(ぜんそく)で苦しむ人が増えてきます。喘息で亡くなる人も毎年約五〇〇〇人、比較的軽い喘息患者が急に大発作を起こして死亡するケースが増えているということですが、症状や体質に合わせた漢方で、喘息の予防と改善が可能です。
喘息は、気道が狭くなり呼吸が苦しくなる病気です。西洋医学では、ステロイド剤などの薬で、気道の炎症を鎮めたり気道を広げて呼吸を楽にして、発作を抑える方法をとりますが、いずれも一時的な対症療法であり根治することは困難です。
中医学による「呼吸」の考え方は西洋医学とは根本的に違います。呼吸は肺臓や気管支などの「肺」という機構がコントロールしますが、肺で呼気と吸気がやりとりされても、それで呼吸活動のサイクルが完結したとは考えません。「肺」で吸いこまれた空気は「腎」という生命活動の代謝をコントロールする働きに引き渡され、身体の深部まで届けられなければなりません。不要になった空気は「肺」に届けられ呼気をしっかり行う……この循環が中医学で考える「呼吸」です。ですから、「腎」の働きが弱いと呼吸作用が順調に行われません。このため「肺」の働きだけを改善しても、一時しのぎにしかならず症状がぶり返しがちです。「肺」と「腎」は二人三脚で人が必要とする酸素を取り込んでいるわけです。
この「腎」の働きは、歳とともに衰えてきます。老化とともに増える成人型の喘息は、「腎」の働きの低下が原因であることが多いのです。腎の働きを高めるには、食事や運動、生活習慣から見直す必要がありますが、「腎」の働きが弱い場合は、漢方薬『補腎薬』の助けを借ります。
腎の働きが弱いことは、根本的な原因の一つですが、喘息を引き起こす誘因をシャットアウトすることも予防・治療にとって大事です。
小児喘息の場合はアレルギーが八〇%を占めますが、成人の場合はアレルギーだけでなくカゼや鼻炎、季節の変わり目の気候の変化、睡眠不足、ストレス、飲酒や喫煙なども大きな原因になります。これらはいずれも人の持つ免疫力を突破して身体に悪さをする因子です。中医学では「外邪(がいじゃ)」といいます。
「肺」は五臓(心・肺・脾・肝・腎)の中で外部との接触が特別に多く、外邪の影響を受けやすい臓です。「外邪」に対する抵抗力が弱いとたちどころに「肺」を侵され、症状が発生します。「肺」の機能を守るには、日頃から免疫力を維持することが予防の要となります。
中医学では、免疫力を保つのに一番大切なのは、「衛気」を強化することと考えます。「衛気」とは体表部を巡って外部からの刺激をはねのけるバリアのような働きといえます。皮膚や粘膜を強化・正常化したり、免疫力や抗体に対する適応力を持ちます。すなわち「衛気」の働きを高めることが喘息はもちろんのこと、カゼやインフルエンザ、花粉症など各種の感染症やアレルギーなどの予防につながります。
予防法は以上の通りですが、実際に喘息にかかったらどうしたらいいのでしょうか?
喘息を起こした時、気道の粘膜に炎症を起こし、痰がからんで気道を狭め空気の通りが悪くなり、呼吸が苦しく感じられます。そこで、中医学では痰を減らす効果、「化痰(かたん)」作用の高い生薬を用います。半夏、紫蘇子、甘草、麦門冬、桔梗などが去痰作用のある生薬ですが、これらと咳を鎮める麻黄、陳皮など、さらに症状によって健胃作用、利尿作用、消炎作用のある生薬を組み合わせます。
「腎」と「衛気」の働きを高めることが、喘息の予防と治療の第一歩、そして喘息の症状が現れたら早めに専門家に相談し、自分の身体に合ったアドバイスを受けてください。日本中医薬研究会(電話03・3327・8891)
*監修=張立也(中医師)氏














