旧暦で楽しむ漢方スローライフ(8)立冬
●立冬(りっとう)…11月7日頃 木枯らしに冬の到来を感じる
* * *
立冬とは暦の上で冬の始まりのこと。木枯らしが観測される頃です。木々は装いを変え、にぎやかだった虫の音は徐々に静かになり、冬至に向かい日没が早くなります。本格的な冬はすぐそこまで来ています。
◆冬と腎の関係
「五行学説」では、冬は「蔵」、すなわち蓄える季節と中医学(中国の伝統医学)では考えます。その蔵の役割をするのが五臓の「腎」です。腎は成長や発育に関係するエネルギーの大本といえる精気を蓄えます。この精気が不足すると、耳鳴りや脱毛、不妊、精力減退、足腰の衰え、健忘などの症状が現れます。
また、寒さは「腎」を傷つけやすいので、寒さから身を守ることはとても重要です。腎は水分代謝にも関わっているので、腎が精気不足や寒さなどにより影響を受けると、むくみ、排尿痛、排尿障害や頻尿などの症状が現れることもあります。
◆体力を養う生活を
冬。動物は冬眠し、木々は葉を落とすなど、自然界は守りの体制に入ります。人も同様に、身体を休めエネルギーを蓄え、春に備える季節です。
生活面では、睡眠時間をたっぷりと取ることや、安定した気持ちで過ごすなど、無理をせず全体的にゆっくりとしたペースを心がけると良いでしょう。ただし、寒いからといって暖房を使い過ぎるのは厳禁です。この時期に汗をかき過ぎると、せっかく蓄えたエネルギーが汗と一緒に流出してしまいます。
食事の面では、「腎」と「気」を補い、身体を温めるものがおすすめです。
もち米、白米、長芋、じゃがいも、ニラ、いんげん、栗、くるみ、干ししいたけ、鶏肉、羊肉、えび、なまこ、しょうがなどを食事に取り入れましょう。また、食材の色では、黒いものが腎を補うと言われています。黒ごま、黒豆、黒米、黒砂糖、黒きくらげなど、色で選んでみるのも楽しいかもしれませんね。
漢方では、当帰(とうき)、黄耆(おうぎ)、地黄(じおう)など9種類の生薬を配合した『イスクラ婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)』や、薬用人参、海馬(かいば)、鹿茸(ろくじょう)などが配合された『イスクラ参馬補腎丸(じんばほじんがん)』などがよく使われています。
●お手軽薬膳レシピ
「腎」を補うえびと身体を温めるニラで餃子を。水餃子、焼き餃子はお好みで
◆「えびニラ餃子」
〈材料・20個分〉
・むきえび(粗みじん)……120g
・豚ひき肉……………………120g
・ニラ(みじん切り)………1/2束
・長ねぎ(みじん切り)……5cm
・しょうが(みじん切り)…1/2かけ
・餃子の皮……………………20枚
・サラダ油……………………大さじ1
・水……………………………1/2カップ
A・酒…………大さじ1/2
A・しょうゆ…大さじ1/2
A・ごま油……大さじ1/2
A・塩…………小さじ1/2
・餃子のたれ(酢・しょうゆ 各適量)
〈作り方〉
(1)ボウルに豚ひき肉と長ねぎ、しょうが、Aの調味料を入れ、粘りが出るまでまぜる。
(2)(1)にむきえびを加えて一度まぜてからニラを加え、よくまぜる。
(3)(2)のあんを大さじ1を目安に餃子の皮で包む。
(4)フライパンを熱しサラダ油を入れ、餃子を並べて中火で焼く。底がきつね色になったら、水を加えフタをして弱火で約5分蒸し焼きにする。
(5)器に盛り付け、たれを添える。
※水餃子の場合、たっぷりの湯で皮が鍋にくっつかないよう時々まぜながら茹でる。
レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、栄養士)
●季節のオススメ養生茶:生姜茶(しょうがちゃ)
身体の中からポカポカする生姜のお茶