旧暦で楽しむ漢方スローライフ(23)雨水
●雨水(うすい)…2月19日頃
寒さが緩み始める
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寒さのピークが過ぎ、少しずつ春の気配が感じられる頃。降る雪が雨に変わり、梅が各地で開花し、ほのかな香りを漂わせます。春を知らせる鶯の鳴き声も聞こえてくるようになります。
◆やっかいな花粉
心浮き立つ春の訪れも、花粉症に悩まされている人にとっては、あまり歓迎できるものではないかもしれません。止まらないくしゃみや鼻水、だるさ、目のかゆみ、鼻づまりといった症状が2月初めから5月頃まで長期間続くのですから、体力的にも辛い季節といえます。
中医学(中国の伝統医学)では、花粉症などのアレルギー症状が起こりやすいのは「衛気(えき)」が弱い体質の人と考えます。衛気とは、外的刺激から身体を守る働きをする「気」の一種で、粘膜を含む体表にバリアを巡らせます。疲れやすい、身体がだるい、風邪を引きやすい、冷え性、胃腸の調子が悪いなどの症状がある人は、衛気が弱っている可能性があります。日頃から食事や生活などに気をつけ体調を整えるようにしましょう。
◆花粉に負けない身体づくり
私たちの身体は、基本的に私たち自身が口にする食べ物からエネルギーを得ています。ですから、食べ物を消化してエネルギーを生み出す胃腸が弱っていると根本的な衛気不足の状態となってしまいます。胃腸に負担をかける辛いものや脂っこいもの、甘いもの、アルコールなどは控えめに。新鮮な野菜を多めに取るとよいでしょう。
食材では、白米、はと麦、大豆製品、グリーンピース、長芋、じゃがいも、にんじん、たまねぎ、キャベツ、ニラ、ねぎ、大根、春菊、小松菜、ゆず、レバー、牛肉、ホタテ、サワラ、落花生などがおすすめです。
漢方では、衛気を養う黄耆(おうぎ)に、消化機能を高める白朮(びゃくじゅつ)、邪気の侵入を防ぐ防風(ぼうふう)を加えた処方の『イスクラ衛益顆粒(えいえきかりゅう)』や、薬用人参、麦門冬(ばくもんどう)、五味子(ごみし)配合の『イスクラ麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)』がよく使われています。
症状別では、身体が冷えて水っぽい鼻水が出る時は『イスクラ頂調顆粒(ちょうちょうかりゅう)』『小青竜湯(しょうせいりゅうとう)』を。鼻づまり、粘りのある鼻水、目や皮膚のかゆみ、咳などには『イスクラ天津感冒片(てんしんかんぼうへん)』『イスクラ鼻淵丸(びえんがん)』などが使われています。
●お手軽薬膳レシピ:レバニラ炒め
身体を温めるニラと血を補うレバーでたっぷり栄養補給
〈材料・2人分〉
・豚レバー…………200g
(豚レバーの下味用調味料)
※・酒…………大さじ1
※・塩・こしょう……各少々
※・片栗粉……………大さじ1
・ニラ…………………1束
・きくらげ(乾燥)…4~5g
・ねぎ(みじん切り)……大さじ2
・にんにく(みじん切り)……小さじ2
・サラダ油………………………大さじ1
A・砂糖…………………………大さじ1/2
A・しょうゆ……………………大さじ1・1/2
A・酒……………………………大さじ2
A・こしょう……………………少々
(レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、栄養士))
〈作り方〉
(1)豚レバーは5mm幅の薄切りにし、水を張ったボウルに入れてもみ洗いする。臭みが取れるよう何回か水を換え、水が濁らなくなったらキッチンペーパーで水気を拭き取る。ボウルにレバーと下味用調味料を入れて手でまぜ合わせる。
(2)ニラは4cm長さに切る。きくらげは水で戻し、石づきを取って一口大にちぎる。Aは合わせておく。
(3)鍋にサラダ油を中火で熱し、レバーを入れて表面が色づくまで炒める。
(4)ねぎとにんにくを加えて炒め、香りが出てきたらニラときくらげを入れて全体をまぜ合わせる。
(5)Aを加え、ニラに火が通るまで炒める。
●季節のオススメ養生茶:シベリア人参茶(にんじんちゃ)
極寒のシベリアに自生する「命の根」
●旬の食材を取りましょう
二十四節気をカレンダーの中に見つけて、自然のリズムで暮らしてみませんか。私たちも自然の一部です。季節の旬を味わって、ほら、心も身体もゆったりとしてきます。