季節を楽しむ漢方スローライフ(37)新生活
●新生活 始まりの季節
期待に胸ふくらませ
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春は始まりの季節。新学期や新しい職場がスタートし、多くの人が期待に胸をふくらませて新たな一歩を踏み出します。そんなワクワクする気持ちを、普段の暮らしの中にも見つけてみましょう。気になっていた趣味やスポーツを始めてみる――そんなチャレンジも素敵ですね。
◆「気」の消耗が心身の不調に
新しい一年が始まるこの時期は、心も身体も元気に過ごしたいもの。ところが、春は季節の変わり目で体調を崩しやすく、疲れやすい、やる気が起きない、といった不調に悩まされることも少なくありません。
これは、春先の大きな気温差などによって、体内の「気(エネルギー)」を消耗してしまうことが原因と中医学(中国の伝統医学)では考えます。気は生命のエネルギー源で、心と身体の“元気”をつくる大切な要素。そのため、体内の気が不足すると、疲れやすい、気分が憂うつになる、といった心身の不調が起こりやすくなるのです。
また、気は「血」と一緒に体内を巡っているため、気が不足したり、流れが滞ったりすると、〓血(おけつ)(血行不良)の状態を招いてしまうことも。春は環境の変化で気を使うことも多く、ストレスで体内の気が滞りやすくなります。バランスの良い食事で気を養いながら、ストレスを上手に発散して気の流れをスムーズに保つよう心がけましょう。
◆夏に向けて「気」と「潤い」の養生を
この時期は、長い冬の乾燥が影響して身体の潤いも不足しがちになります。潤い不足の状態は咳や風邪などの不調にもつながるため、食材選びに気を配るなど、体内の潤いを養うことも必要です。
これから少しずつ、暑さを感じる季節を迎えます。夏の猛暑を乗り切るためにも、春の体調管理はとても大切。気と潤いをしっかり養って、身体を元気に整えておきましょう。
食材は、気を養う米、じゃがいも、キャベツ、豆類、カツオ、サワラ、牛肉、潤いを養うアスパラガス、トマト、いちご、卵、乳製品などがおすすめです。
漢方では、気と潤いを養って身体を元気にする『イスクラ麦味参顆粒』、〓血(おけつ)には『イスクラ冠元顆粒』などがよく使われます。
〈監修〉包海燕(中医学講師)
●ハレの日薬膳レシピ:「じゃがいもとプチトマトのココット」
気を養うじゃがいもと潤いを養う卵やトマトを使って
〈材料・ココット4個分〉
・じゃがいも………中2個
・プチトマト………8個
・卵…………………2個
・牛乳………………大さじ4
・塩…………………小さじ1/5
・こしょう…………少々
・ピザ用チーズ……50g
・バター……………適量
〈作り方〉
(1)じゃがいもは皮をむいて1cm角のさいの目に切り、塩(分量外)を入れた湯で約5分茹で、ザルに上げる。プチトマトはヘタを取り、縦半分に切る。
(2)ボウルに卵をときほぐし、牛乳、塩、こしょうを加えてまぜ、(1)のじゃがいもとピザ用チーズの2/3量を加えてまぜ合わせる。
(3)ココットにバターを塗り、(2)を分け入れてプチトマトをのせ、さらに残りのピザ用チーズを上に散らす。180℃に熱したオーブンに入れて約15分焼く。
レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、管理栄養士)
●季節のオススメドリンク
香西洋茶 ウコギ科西洋人参のお茶。ほんのりとした苦味と香りが特徴。
●春キャベツは気を養います。
カレンダーの中からハレの日や旧暦の行事を見つけたら、その由来をお話ししませんか。季節の移ろいを楽しみながら。