ヘルシートーク:整形外科医・蔵本理枝子さん

2013.07.10 216号 05面
「自転車女医のサイクリニック」

「自転車女医のサイクリニック」

 一般の整形外科のみならず、スポーツならではの痛みやケガの症状を診察している「リエチ先生」こと、整形外科医の蔵本理枝子さん。ご自身もトライアスロンやマラソンなどに親しみ、共著『自転車女医のサイクリニック』は、“読みやすいスポーツ医学の本”として注目されています。医師として、妻として、一児の母として多忙な生活を送る蔵本さんに、運動と食事の関係などについてお話を伺いました。

 ◆サイクリングを始めて10キロのダイエットに成功しました

 赤ちゃんから高齢者まで、一生の中ですべての方がかかる科が整形外科だと思います。医学部を卒業後、さまざまな病院で手術や外来、当直を担当してきましたが、20代の頃に激務と運動不足が重なって3カ月で10キロほど太ってしまったんです。それで痩せるために始めたのが、通勤時のサイクリングです。往復2時間自転車に乗り、半年で元の体重に戻ったんですよ。

 それまではマラソンにチャレンジしていて、時間がある日は皇居の周りを走ったり、ニューヨークシティマラソンやホノルルマラソンなど、海外の大会にも参加していました。自転車を始めたのは2006年頃ですが、当時雑誌で「ホノルルセンチュリーライド」という、約160キロを駆け抜けるサイクリングイベントの読者募集があったので応募したところ、見事に受かりまして……。ロングライド中のハワイ・オアフ島北東部の景色はとても素晴らしく、また、運動した後のごはんもおいしくて、すっかり夢中になりました。それからスポーツの幅も広がり、トライアスロンなどの大会にも参加するようになりました。

 私自身がスポーツを楽しむようになって気付いたのは、スポーツによる痛みに悩んでいる人が非常に多いということ。整形外科に行っても、レントゲンの画像では特に問題が見当たらず、原因が分かりづらいケースも多いのですが、人によっては筋肉の柔軟性が低下していたり、筋肉の使い方や走り方が間違っていたり、身体のバランスが悪かったりすることで、痛みを感じることもあります。

 原因は必ずあるので、みなさんがその原因を一緒に見つけてくれる医師と出会い、痛みを抱えずにスポーツを楽しめるようになってもらえればと思っています。

 ◆クリニックでは「年だから」は禁句!身体を動かしていつまでも元気で

 夏場はエアコンで身体が冷やされ、肩や膝が痛くなる方も多いので、冷えると痛いと感じる部位には、サポーターなどをつけて保温すると良いですよ。関節は動かさないと固まりやすくなり、いろいろな痛みの原因につながります。普段スポーツをしない方でも、ウオーキングを日常に取り入れるなど、歩くだけでも変わります。

 また、肩こりの原因になりやすいのが、パソコン使用時の姿勢です。猫背で、肩甲骨の機能が低下し、アゴが前に突き出ているケースが多く見られます。できるだけ座高を高めに姿勢を正し、アゴを引き、軽くお腹に力を入れるだけでも改善されます。

 腰痛持ちの女性も多いのですが、やはりここでも長年の姿勢の悪さや、身体の使い方に問題があったり、反り腰だったりと原因はさまざま。一人ひとりに合った治療で痛みがなくなると良いですね。

 実は、私の父も整形外科医です。実家のクリニックで私も副院長を務めていますが、クリニックで禁じているのが「年なんだから」という言葉。それから、「安静にする」という言葉もあまり好きではありません。ケガの程度にもよりますが、例えば膝をケガした場合、膝は安静にする必要がありますが、他の部分はなるべく動かしてもらいたいんです。

 「安静=じっとしている」というイメージがありますが、なるべく動きながら治したほうが回復も早いし、年齢のせいにせずにいつまでも元気でいようと意識してほしいと思っています。

 ◆夏野菜ではきゅうりが大好き毎日、サラダをたっぷり食べます

 私も主人も野菜が大好きで、夏野菜ではきゅうりをよく食べています。塩で板ずりし、4分の1にカットしたきゅうりを冷蔵庫で冷やすだけの簡単なメニューですが、2人で一晩に5本は食べちゃうんです。さっぱりしているし、食欲が落ちている時でも食べやすいのでおすすめですよ。

 サラダは毎日、ボウル1つ分の量を夫婦で食べています。塩・バルサミコ酢・こしょうのドレッシングにアマニ油を足して、必須不飽和脂肪酸の「オメガ3」を意識的に取るようにしています。私は塩にこだわっているのですが、バルサミコ酢の代わりにレモンの味がついた塩でも、酸味が効いておいしくなります。

 あと、週に1度はキャベツとベーコンのスープを作っていますね。高校時代の化学の先生に教えてもらったメニューなのですが、キャベツ1玉を4等分し、厚めにカットして焼いたベーコンとともに、昆布だしとコンソメを入れたスープで1時間ほど煮込みます。野菜の甘みが引き出されておいしいし、便通も良くなります。

 運動してエネルギーを消費した後は、できるだけ速やかに糖質、たんぱく質を取って代謝を上げることが大切です。クエン酸を一緒に取ると吸収しやすくなるので、野菜ジュースとヨーグルトを運動直後にいただくようにしています。家の冷蔵庫には、無農薬のレモンを薄切りにしてはちみつにつけた「はちみつレモン」を常備しているので、炭酸水で割ってレモネードにすることも多いです。

 トライアスロンなどのレース後は、カロリーの高い食事もあまり気にせずに食べられます。ハワイで主人や仲間と食べたエッグベネディクトは、ほうれん草やポテトもついていて、本当においしかったです。ハワイで自転車の練習をした後は、フルーツたっぷりのアサイーボウルもお気に入り。ぜひみなさんも、運動後はクエン酸と一緒に糖質・たんぱく質の入った食事を心がけてみてくださいね。

 ●プロフィール

 くらもと・りえこ 1978年生まれ。北里大学医学部を卒業後、東京警察病院、公立昭和病院、西東京警察病院などを経て、いとう整形外科副院長。日本整形外科学会専門医。雑誌やスポーツ新聞、インターネットなどで「リエチ先生」の愛称で活躍中。トライアスロンやマラソン、ロードバイクなどを趣味とし、自身が経験したケガや痛みを診療の現場に活かしている。

 公式Blog http://blog.riechi.net/

 ◆『自転車女医のサイクリニック』 蔵本理枝子、ドロンジョーヌ恩田 共著

 発行:エイ出版社/定価1,050円(税込)

 股の痛みや腰痛などサイクリングにまつわる悩みだけでなく、スポーツ全般の痛みやケガ、病気に関するメカニズムと解決法をまとめた一冊。「すりキズは消毒せずに湿らせて治す」「心肺蘇生のリズムは『ドラえもんの歌』などテンポ100の曲が合う」といった目からうろこの医学情報が満載です。自転車仲間でもあるドロンジョーヌ恩田さんとの軽快な掛け合いトークとイラストで読みやすく、巻末には携帯用救急カードと防水シート付き。

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