72候を楽しむ漢方スローライフ(52)半夏生ず(はんげしょうず)

2014.07.01 228号 08面
「緑豆の豆腐白玉ぜんざい」

「緑豆の豆腐白玉ぜんざい」

「イスクラ天王補心丹T」

「イスクラ天王補心丹T」

 熱い日差しはすぐそこに(夏至末候7月1日~6日頃)

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 夏至から10日ほど過ぎた頃、72候の半夏生(はんげしょう)を迎えると、梅雨明けも間近になります。いまは湿度が高く、蒸し暑く、ジメジメした気候ですが、暑い日差しはすぐそこまで来ています。

 ●夏の不眠は汗のかき過ぎから

 夏本番を迎えると、暑さで寝苦しい夜が続き、「寝付けない」「眠りが浅い」といった不眠の症状が起こりやすくなります。

 中医学では、睡眠は五臓の「心(しん)」と深い関わりがあり、心の働きが弱くなると、精神不安などを招いて不眠が起こりやすくなると考えます。

 夏に注意したいのは、汗のかき過ぎ。汗をかくと身体に必要な水分や「気(エネルギー)が失われ、ドロドロ血やエネルギー不足を招いて心の機能に負担がかかります。これが睡眠にも影響し、不眠の症状が起こりやすくなるのです。睡眠不足が続いて疲労やストレスが溜まると、今度は体内に「熱」がこもってイライラやほてりを感じ、さらに“眠れない体質”になってしまうことも少なくありません。

 また、夏は冷たいものの取り過ぎにも要注意。胃腸が冷えて弱くなると体内に「湿(余分な水分や汚れ)」や熱がこもりやすく、これが心の機能に影響して不眠につながることもあるのです。

 ●「潤い」と「気」を養う

 体力を消耗する夏は、十分な睡眠で疲労を回復することが大切です。そのためにも胃腸を元気に保って体内の気を養い、潤いを上手に補給して、心の機能を健やかに保つよう心がけましょう。

 睡眠中は、エアコンや扇風機の風が足下から吹かないよう注意して。毛穴から邪気(風邪〈ふうじゃ〉や寒邪〈かんじゃ〉)が入り込むと、夏風邪や冷えなどの原因となってしまいます。

 食材は、身体の熱を冷ます緑豆、豆腐、とうがん、すいか、寒天、潤いを生むトマト、レモン、気を養う山芋、桃などを。緑豆やとうがんは、スープにして食卓に添えるのが中国流の暑気払いです。

 漢方では、心を補い不眠をやわらげる『イスクラ天王補心丹T(てんのうほしんたんT)』、精神不安や不眠に『帰脾湯(きひとう)』、心身をリラックスさせる『シベリア人参』などがよく使われます。

 監修・何暁霞(中医学講師)

 ◆ハレの日薬膳レシピ:緑豆の豆腐白玉ぜんざい

 身体の熱を冷ます緑豆を使って

 <材料・4人分>

 ・緑豆…………1/2カップ

 ・水……………3カップ

 ・氷砂糖(またはグラニュー糖)…60g

 ・絹ごし豆腐………1/4丁

 ・白玉粉……………約70g

 <作り方>

 (1)緑豆は水洗いし、たっぷりの水(分量外)に30分漬けてザルにあげる。

 (2)鍋に緑豆と分量の水を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にして40分煮る。氷砂糖を加え、溶かしたら火を止め、フタをして10分蒸らす。

 (3)ボウルに絹ごし豆腐を入れ、白玉粉を加減しながら加えて、耳たぶくらいのやわらかさにする。1.5~2cmくらいに丸め、中央を少しくぼませて白玉を作る。

 (4)熱湯を沸かし、(3)の白玉を入れ、浮きあがってから約2分ゆで、冷水に取る。

 (5)(2)のぜんざいを器に盛り、(4)の白玉を入れる。

 ※ぜんざいは温めても冷たくしてもおいしく召し上がれます。

 レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、管理栄養士)

 ●季節のオススメドリンク:香西洋参(しゃんせいようじん)

 ●すいかやとうがんなどウリ科の食材は身体の熱を冷まします。。

 24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。

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