ヘルシートーク:女優・武田梨奈さん
食をテーマにした多くのマンガやテレビドラマの中で、ひときわ主人公のキャラクターに注目が集まる『ワカコ酒』。女性のひとり呑みをカッコよく、至福に満ちた様子で好演するのは、映画、ドラマなどで大活躍の武田梨奈さん。撮影場所であるお店はすべて実在する名店で、撮影後にご自身も通うようになったとか。撮影時のエピソードや、好きな野菜料理について伺いました。
●リアリティを大切にした撮影 「おいしい!」を感じたままに伝えたい
私が演じる主人公のワカコは、おいしい料理とお酒が大好きなOL。新橋の居酒屋や中野の沖縄料理屋などで、仕事帰りのひとり呑みを満喫しています。女性一人でカウンターに座って、一つひとつの料理をじっくりと味わい、それに合うお酒を見つけて堪能する姿に、私は“憧れ”を感じました。かっこいいですよね!
Season1のクランクイン前、『ワカコ酒』にも出てくる「魚貞」という日本料理屋に、監督とプロデューサーと一緒に食事に行く機会がありました。私が食べる姿をみなさんがじっと見ていたのですが、「一口が、でかっ!」と爆笑されたんです。当初、ひと口ずつ綺麗な仕草で食べる女性をイメージされていたようですが、私がおいしそうにほおばる姿を見て「こっちで行くか!」となったらしく、こうしてワカコのキャラクターが決まりました。
食べるシーンは、「料理を初めて口に入れた時のリアルな様子を撮りたい」と監督からお聞きしていたので、感動をありのままに表現するように意識しました。「おいしい」のは当たり前なので、おいしい以外の表現で、高揚感を伝えることも大切に。食レポにも近いので、とても難しかったですね。
実はお酒も本物をいただいているんですよ。台本に「この日本酒はなめらかでおいしい」と書いてあるところに、実際に飲んだら「さっぱりしている」と感じたときは、監督に相談してセリフを変えることも。リアリティをとても重視しているので、現場でどんどん変化していきました。
以前は一人でごはんを食べにいくことはあっても、お酒をそんなに呑むことはありませんでした。料理に合うお酒を発見する楽しみを覚えてからは、撮影で訪れたお店に仕事帰りに行くことも。“リアル『ワカコ酒』”を堪能するようになりました。
●悔しさが私を突き動かす原動力 空手で鍛えた体力には自信あり!
私の父は、フランス料理の料理人ということもあり、食べ方にとても厳しい人でした。3歳から箸やお茶碗の持ち方を指導され、少しでも変な持ち方をすると怒られたものです。でも、そんな父には、食べることの楽しさも教えてもらいました。
『ワカコ酒』では、毎回本当においしいものが食べられて幸せでした。広島の牡蠣を使ったカキフライや、ちょっぴり辛めで大人の味の麻婆豆腐。サワラの西京焼きも最高です。
野菜料理もたくさん登場していますが、中でもごぼう揚げは、ビックリするおいしさでした。食物繊維も含まれていて揚げ物なのにヘルシー。病みつきになってしまい、自宅でも母につくってもらいました。沖縄本場のゴーヤーチャンプルは、どんぶりでいただくシーンでしたが、2皿ペロリと食べました(笑)。
撮影は、約1カ月半の間に12話分。早い日は朝6時に現場入りして、7時から1日中食べっぱなしという日もありました。とてもハードな現場でしたが、乗り切ることができたのは、父の影響で始めた空手で鍛えた体力のおかげかなと思います。
空手を始めたのは10歳の時。きっかけは、父の試合を初めて見に行った全国大会でした。初戦開始10分もしないうちに敗退した父の姿を見て、大きなショックを受けたんです。負けた瞬間に、隣に座っていた母に「私、空手やるから」と言っていました。私の中のヒーローだった父が負けたことが猛烈に悔しかったんです。役者になろうと決めてからオーディションに300回以上落ちた時も、本当に悔しかった。「絶対にあきらめない。受かってみせる!」と挑戦を続けました。何の実力もない普通の私ですが、つねに“悔しさ”が原動力になって、さまざまなことを乗り越えてきたと感じています。
空手は小学6年の時に初めて出場した大会で、型と組み手のダブル優勝を果たしました。始めてから今年で15年。役者としては、いまこうして『ワカコ酒』の主演をいただけるようにもなり、心から幸せを感じています。
●野菜は毎日食べるほど大好き この春出会ったビックリな餃子
プライベートでも、野菜はほぼ毎日食べています。最近はまっているのは、アスパラガス。ゆでて何もつけずに食べるのが大好きです。野菜そのものの味を楽しむことが好きなので、基本はシンプルな食べ方をしていますが、時にはマヨネーズをつけたり、ベーコンと炒めたりすることもあります。
自宅では小さなプランターを使って大好きなパクチーを育てています。『ワカコ酒』のスタッフさんたちと、「デトックス効果があるよ」「あのお店いいよ」などとパクチー情報を交換することも。みんなではまっていて、先日も経堂にあるお店に行ったところです(笑)。
春にお花見をした時、役者仲間に教えてもらったニラ餃子も最高で。にんにくの香りがするニラとお肉の餡を包んでいるのが、餃子の皮ではなくて大根だったんです!
丸いまま薄くスライスした大根を皮にして、つまようじで閉じて焼くんです。シャキシャキした歯ごたえが絶妙!
今度、マネしてつくってみようと思っています。
◆プロフィール
たけだ・りな 1991年6月15日生まれ。10歳から習い始めた空手は、琉球少林流空手道月心会黒帯の2段。『ハイキック・ガール!』(09)にて主演デビュー。2015年、映画『進撃の巨人』『かぐらめ』、dTVオリジナル『進撃の巨人 反撃の狼煙』の演技が評価され、ロサンゼルス日本映画祭にて最優秀主演女優賞を受賞。2016年には、日本×ミャンマー合作映画『ヤンゴン ランウェイ』『海すずめ』など主演映画が公開。読売テレビ・日本テレビ系 ドラマ「ドクターカー」第6話ゲスト出演。TBSドラマ『重版出来!』に出演中。
【写真】《ヘアメイク》安達知江 《スタイリスト》山本真里江《衣装協力》ワンピース、ピアス Million Carats/0364470762
●DVD紹介:『ワカコ酒 Season2』
村崎ワカコ(武田梨奈)は、酒と料理が何より好きな26歳。偶然見つけた店でも、勇気を出して一歩足を踏み入れる呑兵衛女子。職場での出来事に想いを巡らせたり、他のお客さんたちの会話に耳を傾けたりしながら、酒場でのひとり呑みを満喫している。酒と料理がぴったりと合わさった刹那、全身が高揚感に包まれた彼女の口からは、思わず「ぷしゅー」と吐息が漏れる。
「ワカコ酒 Season2」DVD-BOX発売中! 価格:12,312円(税込)
vol.1~5レンタル中!
発売元:2016「ワカコ酒2」製作委員会
販売元:エスピーオー
原作:新久千映
出演:武田梨奈 野添義弘 鎌苅健太ほか
(c)新久千映/NSP 2011 (c)2016「ワカコ酒2」製作委員会