ヘルシートーク:料理研究家・貝谷郁子さん

2024.12.01 353号 05面
『ちゃちゃっとイタリアン!』貝谷郁子 著/宝島社 定価:1760円(税込) 時短でつくれるカンタンおいしいイタリアンのレシピブック。トマト缶のレシピもたくさん。

『ちゃちゃっとイタリアン!』貝谷郁子 著/宝島社 定価:1760円(税込) 時短でつくれるカンタンおいしいイタリアンのレシピブック。トマト缶のレシピもたくさん。

風土にマッチした生産方法

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伝統産業もアップデート

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フワフワモチモチのナポリピザの秘密

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時短と伝統、両方アリ

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オススメのパスタ料理をご紹介!

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【トマト缶の3つの種類】皮むきホールトマト 収穫直後にゆでて皮をむき、果汁と一緒に缶詰にされています。

【トマト缶の3つの種類】皮むきホールトマト 収穫直後にゆでて皮をむき、果汁と一緒に缶詰にされています。

【トマト缶の3つの種類】ダイストマト フレッシュなトマトをカットし、種を除いた後、果汁と一緒に缶詰に保存されます。

【トマト缶の3つの種類】ダイストマト フレッシュなトマトをカットし、種を除いた後、果汁と一緒に缶詰に保存されます。

【トマト缶の3つの種類】トマトパッサータ(トマトピューレ) ピューレし、ごく短時間高温で加熱したトマトを裏ごしし、ほんのわずか濃縮されて瓶詰めされます。

【トマト缶の3つの種類】トマトパッサータ(トマトピューレ) ピューレし、ごく短時間高温で加熱したトマトを裏ごしし、ほんのわずか濃縮されて瓶詰めされます。

 ◇冷凍庫にトマトソースを 気分が上がる楽しい時短術です

 イタリア渡航歴30年以上という料理研究家の貝谷郁子さん。最新のイタリア食卓事情や、日々のトマト缶活用術について教えていただきました。

 ●トマト缶を使った楽しくておいしい習慣

 イタリアに行くたびに、地元の人に「好物は何ですか?」と聞いてきました。高い確率で返ってくるのが「トマトソース系のパスタ」との答えです。お母さん・お祖母さんのミートソースから、アラビアータ、野菜、シーフード、肉類などさまざま。シンプルなトマトソースも、家ごとの味、好みの味のバリエーションがありますね。

 ほとんどの家庭はトマト缶類を使います。トマト缶は昔からありますが、いまの時代こそ活用する価値があるといえるかもしれません。「マンマの料理」のイタリアでも、いまは共働きが普通なので、時短料理が人気です。また、家の中の“時差”もあります。家族といえども、いまは食事の時間が一人ひとり違いますよね。そうした中で例えば、カルボナーラはおいしいけれど冷凍はできない。作り置きできて、残ったら冷凍もできるトマトソースはありがたい存在です。

 トマト缶は1缶が400g。1人や2人の食事では量が多い、という声もあります。そんな時は半分だけ使って、加熱しない残りをそのまま保存袋などに入れて、手でモニョモニョともんでから、冷凍しておくと便利です。

 トマト好きの私の家の冷凍庫には、その加熱していないペースト、そして先週つくったトマトソース、トマト煮込みと、真っ赤な色がたくさん。冷凍庫を開けるたびに気分が上がります。その時の気分と使える時間で、きょうの素材をチョイスしています。おいしくて楽しい習慣、いかがでしょうか。

 ◆プロフィル

 かいたに・いくこ 料理研究家。イタリアを中心に国内外の食文化と料理を取材、研究。イタリア家庭料理等の教室開催、メディアでの料理監修、レシピ開発などで活躍。イタリアでは家庭から農園、飲食店を巡り、おいしさの秘密を探り続けている。『パルミジャーノをひとふり』『和イタリアンのレシピノート』など著書多数。

 ◇『ちゃちゃっとイタリアン!』 貝谷郁子著/宝島社

 定価:1760円(税込)

 時短でつくれるカンタンおいしいイタリアンのレシピブック。トマト缶のレシピもたくさん。

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 ◆イタリアのトマトの故郷を訪ねてきました! 「レッドゴールドフロムヨーロッパ」ナポリ視察

 貝谷郁子さんはこの夏、「ANICAV-レッドゴールドフロムヨーロッパ」に招かれ、ナポリ近郊・カゼルタ地方の加工用トマト畑、生産工場、周辺の飲食店を視察したそうです。

 ◇加工用トマトは、地中海気候で野性的に育ちます

 ●風土にマッチした生産方法

 温暖な地中海気候のもと、広大な農地で皮のかたい加工用品種のトマトがすくすくと育ち、収穫されていく様を見ることができました。頭上にはナポリの太陽がさんさんと。肥料も人の手も最小限、自然の恵みだけでたくましく育っていくトマトたち。なんてこの風土にマッチしている生産方法なんだろうと、心から思いました。

 ●伝統産業もアップデート

 トマト缶メーカーでは、今朝収穫したトマトが運び込まれ加工されていく工程を視察しました。素材の選定、一貫した品質管理。光学機械と目視双方でのチェックなど、どれも徹底していました。環境問題への配慮も含め、各企業が伝統産業を時代に合わせアップデートしています。

 ●フワフワモチモチのナポリピザの秘密

 ナポリ風ピザは、フワフワでモチモチの食感。450℃もの高温で、短時間で焼き上げることでコルニチョーネと呼ばれる太い縁ができ、トマト缶もそのまま煮詰めず使ってちょうどいいソースになるのです。

 ●時短と伝統、両方アリ

 スーパーには、日本ではあまり見かけない小さいサイズのトマト缶がたくさんありました。イタリアでも世帯人数が少なくなっているので、可愛らしいサイズが人気なんですね。一方、友人宅では、ご主人のマンマに教わったやり方で、大量のトマトソースをつくっている光景を見ました。毎夏の年中行事だそうです。おいしいものの伝統もしっかり残っているんだなと思いました。

 ●オススメのパスタ料理をご紹介!

 ナポリの老舗カフェの一皿。パッケリという特別大きなショートパスタを使っています。ショートパスタは同じ量でもお皿に盛ると映えるし、噛み応えもあるのでダイエット向き。また、作り置きして時間がたってもおいしいと、いいことづくめ。私のオススメです。

 【トマト缶の3つの種類】

 日本で手に入りやすいトマト缶類は、この3品。「ホールトマト」の使い方については、以前は最初に「ザルでこす」「手で崩す」とレシピにも書いていましたが、かたいものをつつけば、はねたり逃げたり、やりにくいですよね。火を入れて7~8分、やわらかくなってからツンツンと崩せばラクラク!これも時短のアップデートです。

 「皮むきホールトマト」

 収穫直後にゆでて皮をむき、果汁と一緒に缶詰にされています。

 「ダイストマト」

 フレッシュなトマトをカットし、種を除いた後、果汁と一緒に缶詰に保存されます。

 「トマトパッサータ(トマトピューレ)」

 ピューレし、ごく短時間高温で加熱したトマトを裏ごしし、ほんのわずか濃縮されて瓶詰めされます。

 「レッドゴールドフロムヨーロッパ」は、EUの経済協力のもと、イタリア野菜保存食品産業協会(ANICAV)が、高品質なトマト保存食品を奨励する国際プロジェクト。100%EU・イタリア産トマトをパッケージした優れた栄養分とおいしさを発信しています。

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