72候を楽しむ漢方スローライフ(111)半夏生(はんげしょう)ず

2019.06.01 287号 08面
鶏肉のジャスミン茶蒸し

鶏肉のジャスミン茶蒸し

 もうすぐ梅雨の終わり(夏至末候 7月1~6日頃)

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 烏柄杓(からすびしゃく=半夏)が生え始める頃。夏至を迎え、1年で最も昼が長くなる季節です。この時期、暦の上ではもう夏にあたりますが、傘の手放せない日もまだ多いもの。でも、青空と太陽の季節はもうすぐそこ。まもなく梅雨が明け、夏の盛りへと日ごと暑さが増していきます。

 ●胃腸トラブルに気をつけて

 少しずつ気温が上がり、蒸し暑さが気になる季節。この時期に気をつけたいのは、湿気による胃腸トラブルです。

 漢方では、消化器系は湿気のダメージを受けやすい臓器と考えます。そのため、梅雨から夏の時期は胃腸の働きが落ちやすく、食欲不振や消化不良、下痢、軟便などの不調を起こしやすくなるのです。

 胃腸の不調が続くと栄養を十分に取ることができず、体内の「気(エネルギー)」が不足しがちに。すると、夏本番になって体力が落ち、免疫力が低下してしまいます。夏風邪や夏バテなどの不調にもつながりやすいため、いまからしっかり胃腸をケアして、暑さに負けない身体づくりを心がけましょう。

 ●余分な水分を溜めない

 この季節のケアは、胃腸の働きを弱らせている“体内の余分な水分”をすっきり取り除くことが基本です。過剰な水分は胃腸の負担になるので、水分の取り過ぎには注意しましょう。

 暑くなると冷たいものを取りがちですが、胃腸は冷えに弱いので気をつけて。日常の飲み物は常温かホット、食事は温かいものを意識して、胃腸にやさしい食生活を心がけてください。

 食材は、身体の余分な水分を取り除くさやいんげん、そら豆、胃腸を元気にして気を養う鶏肉、しいたけ、大豆製品、消化を助けるジャスミン、ねぎなどがおすすめです。

 ◆ハレの日薬膳レシピ:鶏肉のジャスミン茶蒸し

 気を養う鶏肉、利水作用のあるさやいんげん、消化を助けるジャスミンとねぎを使って

 エネルギー303kcal/たんぱく質22.3g/塩1.7g(1人分)

 <材料・2人分>

 ・鶏もも肉………………………………250g

 ・干ししいたけ…………………………5枚

 ・さやいんげん…………………………6本

 ・ねぎ……………………………………1/2本

 ・ジャスミン茶…………………………1/2カップ

 A・塩……………………………………小さじ1/4

 A・紹興酒………………………………小さじ2

 A・こしょう……………………………少々

 A・サラダ油……………………………小さじ1

 A・片栗粉………………………………小さじ1

 <作り方>

 (1)鶏肉は一口大のそぎ切りにする。

 (2)水で戻した干ししいたけの軸を取り、そぎ切りにする。

 (3)さやいんげんは筋を取り、食べやすい大きさに切る。

 (4)ねぎは斜め切りにする。

 (5)ジャスミン茶は、濃い目に入れて冷ましておく。

 (6)ジャスミン茶にAの調味料と材料をすべて入れ、よく混ぜ合わせておく。

 (7)深めの器に(6)を入れ、上を平らにして、蒸し器で約15分強火で蒸す。

 レシピ=中島和枝(東京栄養士薬膳研究会)

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 24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。

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