新型コロナ:スナック菓子、外出自粛で需要急増 メーカー、供給に全力

菓子 ニュース 2020.05.08 12048号 01面

新型コロナウイルスによる感染症拡大対策として、小中高の休校、その後の7都府県への非常事態宣言の発出と全国への拡大などで外出自粛が進む中、買いだめ行動や家ナカ消費の拡大でスナック菓子の需要は急速に高まっており、ロングセラーブランド商品を中心に販売が拡大している。業界関係者からは、2016年9月に北海道を襲った台風10号の影響で、ポテトチップスの原料であるジャガイモ不足から、17年に発生した商品の休売が相次いだ「ポテトチップスショック」を想起するとの指摘もあり、商品供給が滞り始めているとの声も聞こえてくる。各メーカーは、想定以上の受注に対し、一部新商品の発売延期などの対応を行い、商品供給に全力を尽くしている。

スナック菓子の需要期である5月の大型連休前は例年、行楽に伴う需要増でメーカー各社の工場はフル稼働し生産を行う。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止対策で、外出の自粛が要請され、行楽に伴う需要は大幅に減少するが、在宅時間の増加によってそれを上回る家庭内での需要が発生している。

こうした需給バランスの変化は19年10月に発生した。東日本に甚大な被害をもたらした台風19号の時も行った。気象庁は最大限の警戒を呼び掛け、東日本を中心に超大型台風に備える動きが10月第2週後半から始まり、スナック菓子の首都圏の週次データ(10月7~14日)の前年同期販売数量は42%増と高い値を示した。台風に備える中、食事代替が可能で一定程度保存可能なスナック菓子の価値が評価された。同様の事態が新型コロナウイルス感染拡大防止対策として発出された全国の小中高校に対する休校要請や、その後の非常事態宣言で発生した。

需要が供給を上回る事態が短い期間で2度発生したことで、一部メーカーが19年5月以降に実施したポテトチップスを中心とした値上げが一定程度浸透した。スナック菓子は低価格競争で安値が定着する中、原材料価格の上昇や人手不足による物流費高騰の波にさらされた。特に、製品価格と製品の大きな容積を要するバランスが物流効率を悪化させるとの指摘があった。こうした背景もあり、カルビー、湖池屋などが値上げを実施していた。=関連記事8~9面(青柳英明)

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