なめ茸・山菜加工特集
◆なめ茸・山菜加工特集:新たな「お供」へ進化 イメージ打破で需要開拓
「ご飯のお供」の定番として親しまれている、なめ茸。値頃感ある価格帯、ストック需要に応える保存性などを強みに半世紀以上、家庭用を中心に親しまれている。食の多様化や「コメ離れ」で消費基盤は弱体化しているが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う内食化で引き合いが強まるなど、食卓を支える底堅い潜在需要をあらためて示している。一方で、ストック需要の一巡ですぐさま反動減に転じるなど、成長への力強さは乏しい。普及・拡大の推進力だった「安さ」も、製造コストや物流費が上昇する中で、収益確保に必要な価格の適正化、商品の高付加価値化を阻むハードルに変容し、カテゴリー市場の活力を奪っている。
こうした閉塞(へいそく)感を打破しようと業界が目指すのは、新たな「お供」の価値づくり。「ご飯」とのタッグにとどまらないメニュー・用途の提案、「容器革命」による利便性の向上で、新規ユーザーの開拓を急ぐ構えだ。(長野支局長=西澤貴寛)
●「革命」ボトルタイプ定着へ 次世代ユーザーも意識
なめ茸といえば、メーカー各社が共通して採用しているガラス製偏平瓶の容器が特徴的で、ユーザーからの認知度も高い。こうした中、「なめ茸革命」を掲げてナガノトマトが2014年秋から展開するプラスチック製ソフトボトル容器の製品が注目を集めている。
使用時にスプーンなどが不要なボトル容器はハンドリングが良く、「あえ物やソースなど、いろいろな用途をユーザーに想定してもらいやすい」(井垣孝夫・ナガノトマト社長)。瓶詰製品に比べてカビが発生しにくい衛生面、冷蔵庫のドアポケットに入れやすい収納性などにも優れ、軽く破損しにくいことから、コロナ禍で市場拡大が加速する宅配・ECチャネル、海外輸出などへの親和性も高い。
「なめ茸といえば偏平瓶の形を思い浮かべるユーザーがほとんど」な中で、「革命」に取り組んだのは、固定観念への危機感。「偏平瓶イコール『ご飯のお供』『特売品』といったイメージが定着している」現状の打破に向けて、「これがなめ茸?といった視覚的なインパクト」でエントリー層を取り込み、「使いやすさや新しいメニュー、用途の驚き」でリピーターを増やす狙いだ。
昨年3月には、家庭用「なめ茸ボトル入り」シリーズに、小ぶりな210gタイプを投入。容量を60g、容器を天地で48mmそれぞれ抑えた設計で、スーパーの店頭などで聞かれた陳列のしづらさの解消、収納性の向上を図った。
●「300円の壁」突破目指す フレーバー展開多彩に
ネックは価格。210gタイプの実勢価格は税別328円前後で、スーパーなどのいわゆる「300円の壁」を突破できていない。特売では298円ぐらいで販売されており、「何とか定番価格をそこまで抑えたい」と、同社はプロジェクトチームを組んで製造効率の向上を進めている。
昨秋から今春にかけ、フレーバー系商品5品を発売した長野興農。「『ご飯のお供』以外に用途を広げることが最重要課題」(営業部)と、ラインアップの拡充を図っている。
昨年9月発売の「にんにく入りなめ茸」「ねぎ入りなめ茸」は、それぞれ青森産ニンニク、京都府産九条ネギを使うなど、国産素材にこだわった付加価値提案型。今年2月に立ち上げた「WOW!!(ワオ)」は、「世界の料理をなめ茸で表現した」新シリーズで、「四川風麻婆」「お好みソース」「あま辛テリヤキ」の3フレーバーを展開する。
「WOW!!」はメニュー提案も多彩。「四川風麻婆」は、豆腐と一緒に電子レンジで温めて「即席麻婆豆腐」に、「あま辛テリヤキ」はパンにマヨネーズと一緒に塗って焼く「テリヤキバーガー風トースト」に–と、米飯周りからフィールドを広げてアプローチする。
同社は「国産素材系は、『47都道府県の味』的なアプローチで、全国各地の素材を生かした商品開発を目指す。『WOW!!』は、『遊び心』がテーマ。次世代ユーザーの開拓を念頭に、子どもが喜ぶようなフレーバーに広い視野で挑戦したい」構え。
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