ハークスレイHD 多角化で切り開く食の未来

ハークスレイHD:青木達也会長兼社長に聞く 食の原点は「母の料理」

特集 外食 中食 2026.09.30 13181号 12面
青木達也代表取締役会長兼社長

青木達也代表取締役会長兼社長

◆インタビュー

◇青木達也代表取締役会長兼社長

「お母さんの手料理」を口にする時、人の心は何にも代えがたいぬくもりで包まれる。母が作る炊きたてのご飯や熱々のおかずは生きる喜びをもたらし、母に愛されている実感とともに湧き上がる活力は心身両面を未来への希望で満たす。ハークスレイHDが追求する食の原点にはこの「母の料理」があり、「子の健康と幸せ」を願う母と同様に「全ての人の健康と幸せ」を願って作る同社の食にはどれも心安らぐ温かさがある。「温かい食事は、それだけで一つの贅沢」という青木達也代表取締役会長兼社長に、祖業となるほっかほっか亭でこだわり抜いた「温かさ」への思いや、「温かさ」が広げる食の可能性について聞いた。

●温かい食事、それだけで一つの贅沢

企業とは、社会の役に立つことを目的に存在する。われわれは常に、「社会にとってどんな役割が果たせるか」「お客さまのニーズに対して何ができるか」という問いを起点に事業に取り組んできた。50年前、発売と同時にほっかほっか亭の「のり弁当」が大きな反響を得たのも、高度経済成長とともに激しく変化する時代の中で、「お母さんが作ってくれた弁当」の中にあるぬくもりを当時の人たちが求めていたからにほかならない。

当社が「のり弁当」を販売する以前は、行政の規定で「弁当は冷まして提供する」ものだった。しかし、「お母さんの愛情のこもった弁当」を形にした「のり弁当」には「温かさ」が欠かせない要素だった。温かいまま販売できるよう行政に粘り強く掛け合い、実際に食べてもらうこともあった。すると「これを冷やして食べたら意味がないね」と、皆が大きな納得を示してくれた。「温かさ」は人の心を動かすことができるのだ。データを集めて安全性を示したことも後押しとなりその後、埼玉県の草加市にほっかほっか亭1号店を開業するに至った。

弁当に限らず、食事はやはり「出来たて」が一番おいしい。当社が徹底的に鮮度にこだわる理由はここにある。生産、調達、加工、物流、販売、この工程を自社で一貫して行う「食のインテグレーション企業」を目指しているのも、中間工程を省くことで消費者により新鮮な食を提供したいというのが理由の一つだ。また、サプライチェーンコストの削減により販売価格を抑えることが可能になり、直接取引は生産者の収入を増やすことにもつながる。事業に携わるすべての関係者が適正な利益を享受すること、これも「食のインテグレーション企業」となるための重要な要素の一つとしている。

M&Aを通じて迎え入れた稲葉ピーナツとホソヤコーポレーションは、共に100年を超える老舗企業だ。「おいしさと安全・安心」への徹底した誠実さと、商品や技術を常にアップデートしてきた研さんがあるからこそ、今なお多くの人から支持され続けている。その姿勢は当社の経営哲学に通じるものがあり、統合後も大変スムーズに連携が取れている。グループシナジーを通じて販路拡大や新商品開発も順調に進んでおり、稲葉ピーナツは早くも100億円企業に成長している。

両社のように、日本には「良いものをお客さまに届けたい」という一心で事業に励む企業が数多く存在する。そうした志を同じくする企業を新たな仲間として迎え入れ、ハークスレイグループの未来を共に創っていきたい。

また子どもの貧困が社会課題になって久しいが、子どもに栄養のある食事が行き届かない社会というのは、やはり健全ではないと感じている。この課題を解決する一助として、当社では食品アクセスの充実に向けた冷凍弁当の開発を進めている。どのような人にも、健康を維持するために必要な量の栄養が取れる食事を行きわたらせる社会にしなければならない。これをわれわれがやらずに誰がやるのかと、長年日常食を提供してきた企業としてそう考えている。

社会の一員として社会の役に立つことをする。社会から脚光を浴びようが浴びまいが、それを愚直に続けていくことが企業として何より重要なのではないだろうか。われわれはこれからも、温かい弁当をお客さまのために作り続けていく。

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