新店ウォッチング:「セガフレード・ザネッティ」
以前にこの欄でもご紹介したスターバックスコーヒーの堅調を受けて、いくつかのグルメコーヒー系の新店が名乗りを上げているが、その中でも本命と目されるショップのひとつが、この「セガフレード・ザネッティ」である。
セガフレード・ザネッティ社は、イタリア最大のコーヒー焙煎メーカーであり、本国以外にも欧州各地でエスプレッソ・バーなどの展開を行っているが、日本国内での店舗展開は住友商事の全額出資子会社である住商グルメコーヒーが行い、セガフレード社は調理のノウハウや食材を提供している。
店舗は、情熱的なラテンの雰囲気を伝える赤を基調に、円弧を多用したセクシーなデザインだ。店内に掲げられた額や、テーブルトップ、壁面などの意匠の一部として使われている写真も、すべて男女の交流をストレートに表現したもので、どこまでもイタリア、あくまでもイタリアという同店のコンセプトを明確に打ち出している。
目標は60店舗
内装デザインには、ガラストップと金属性の同心円デザインのものの二種類があるテーブルトップ、裏から照明が当たる壁面のディスプレー用ニッチ(くぼみ)など、随所にイタリアン・デザインの粋が感じられる。
また、ロゴマークからカウンターの小さなタイルまで、テーマカラーである「赤」が非常に効果的に使用され、いかにも米国東海岸らしいスノッブな雰囲気をにおわせるスターバックスコーヒーとは好対照な店舗づくりである。
商品はエスプレッソが二〇〇円、その他のコーヒーは二五〇~三五〇円と比較的高めだが、クリーミーな泡が、しっかりと立ったカプチーノ(二八〇円)など、グルメコーヒーと呼ぶにふさわしいアレンジ・コーヒーの商品が並ぶ。その他、シナモンロール(一六〇円)などの菓子パン類やサンドイッチといった食べ物、そしてコーヒー以外のドリンクも充実させるなど、このタイプのセルフサービス業態としては、かなり幅広い品ぞろえとなっている。
同社では、直営店舗とフランチャイズ店舗を合わせて、今後五年間で、首都圏を中心に六〇店舗の出店を見込んでおり、来春以降、スターバックスコーヒーなど、外資系コーヒー店チェーン同士の熱い戦いが展開されることになるだろう。
●取材者の視点
以前から気になっているのだが、スターバックスにしろ、セガフレードにしろ、なぜ先に料金を支払ってから商品を渡すシステムを採用しているのか。
筆者はつねづね、「どのタイミングで商品と代金を交換するか」ということがサービス業にとって非常に重要なポイントのひとつになると考えているのだが、代金を支払った後にお客を待たせるというこのシステムは、わが国では、かなりリスキーなのではないだろうか。
特に、商品数が多く、かなりの部分をツーオーダーで調製するというこのタイプの業態は、しばしばお客を待たせることになり、オーダーミスの可能性も高くなる。
スターバックスを見ても分かるが、この業態は、すでに、ドトールが開拓したファストフードサービス(FFS)としての新しいコーヒー店のマーケットには対応していない。
むしろ、お客は、バブル期に消えてなくなってしまった喫茶店が提供していた機能を求めて、こういった店を利用しているように思う。
住友商事は、大手商社の中でも外食分野への進出には他社の後塵を拝してきたが、今回のセガフレードは、導入のタイミングやチェーンの実力からすれば、これを一気にばん回する可能性を秘めた展開といえるだろう。
しかし、商社やメーカーが子会社で展開する外食チェーンの多くが、悲惨な結果を迎えていることもまた事実だ。昨今では、商社系外食チェーン最大手の業績の悪化なども漏れ聞こえてくる。
店舗を「製品の販売ルート」と考えず、エンドユーザーであるお客に優れたサービスを提供する「ショップ」としてとらえることで、魅力あるチェーンを展開して欲しい。
◆「セガフレード・ザネッティ」=(住商グルメコーヒー)渋谷区道玄坂二‐二五‐一二、星野ビル1~2F、Tel03・5459・6085/開業=一九九八年12月4日/店舗面積=約二四〇平方メートル/客席数=一〇二席














