業務用・外食専門店の横顔 「サクラ食品工業」価格維持で絆強める

1993.04.19 26号 21面

「末端の飲食店など、ユーザーをより多く訪問し、より多く言葉を交わすことが結果的には売上高につながる」としているのが㈱サクラ食品工業(東京都調布市佐須町一‐三六‐一)。

わが国で外食産業が本格的に発展、成長を遂げてきたのは昭和50年代以降だといわれているが、同社の急成長も正にこれと並行している。

昭和40年にサクラ食品飲料として東京・三鷹市に誕生した同社が、業務用食品卸部門を新設したのも昭和50年。

ところで、外食産業の最大消費地・東京の発展が、都心から三多摩地区など西へ西へと大きく伸びてきたなかで、同社がこれらの地域への外食ユーザーの食材供給を進めてきただけに順調に業績を拡大してきている。

特に都心部から各大学が八王子市などを中心とした郊外へ移転、さらにレジャー施設、ホテル、レストランの新設などから大学生協、ゴルフ場、ラーメンなどの大手チェーン店などの新規ユーザー獲得はこの典型。

また、柏(千葉)、三多摩(昭島)、調布(東京)といった各卸売場内にも店舗を出店するなど、首都圏におけるいわば広域的な流通網の確立も図ってきているが、何といっても同社がこの業界における確固たる地位を確立したのは、昭和63年に完成させた、本社新社屋と物流センターの建設だろう。

特に外食ユーザーにおける人手不足、省力化などから需要増大が続いている低温食品類については、地下一・二階に冷凍庫一二〇坪、冷蔵庫六〇坪‐計一八〇坪という大きな施設を完備させるなど、早くからこの面では万全の供給体制を敷いている。

佐々木忠教社長も、今後の外食流通サービス業の姿勢として「数多い外食ユーザーについても“選別”を進めるなかで適正価格維持に努め、ユーザーとの信頼関係、“絆”をより強めていきたい」と抱負を語る。

それにしても、外食も洋食から中華、エスニック、和食と広がり、その食材も世界各国から輸入という状況下で外食市場のあらゆる業態に対応し得る品揃え、配送機能を持っているだけに、外食ユーザーにとっては力強く、頼れる企業といえる。

〈プロフィル〉

㈱サクラ食品工業

▽社長‐佐々木忠教

▽本社‐東京都調布市佐須町一‐三六‐一。℡0424・81・2047

▽創業‐昭和40年5月

▽資本金‐一〇〇〇万円

▽事業所‐調布、三多摩、柏、工場(府中)

▽取扱い品目‐外食用食材全般

▽主要仕入先‐味の素、理研ビタミン、エバラ食品工業、ホーネンコーポレーション、ニチレイなど多数。

▽主要販売先‐東秀、キャニー、中大生協、シダコーポレーション、日立京商、東京よみうりカントリークラブなど二〇〇〇社。

▽年商‐約三五億円(平成5年1月期)

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