地域ルポ 鶴見(横浜・鶴見区) 大手外食チェーンが集大成

1996.04.01 98号 8面

JR京浜東北線、鶴見線鶴見駅。一日平均乗降者数一五万人。東京・品川から約二〇分の時間距離。横浜市の西のはずれにあって、川崎市川崎区と接する。駅は東口と西口に分かれるが、鶴見は停車しないが東海道本線と横須賀線も平行しているので線路幅があり、両エリアは完全に分断される形になっている。ということはそれぞれに独立した商圏を形成しているということだ。駅東口は広いバスターミナルとタクシーの溜り場になっていて、京浜急行鶴見駅もこのエリアに位置している。西口もバスターミナルになっているが、一〇年ほど前の再開発事業で複合都市施設「fuga1・2・3」(フーガ1・2・3)が三棟建っており、東口に比べスケールは小さいが整然とした街並にある。しかし、大雑把にみれば東口はビルが林立しており、オフィス街、西口はマンションが多く、また、住宅地と接しているので、住宅街という印象だ。地域の商業施設および商店街は駅周辺に展開するが、飲食店舗はマクドナルドをはじめモスバーガー、ミスタードーナツ、KFC、森永ラブ、ファーストキッチン、松屋、プロント、ドトールコーヒー、ルノアール、ベローチェ、シャノアールなどFF、喫茶チェーンが目白押しのほか、つぼ八、村さ来、天狗、養老の瀧といった屋酒屋チェーンも目につき、外食チェーンの一大集積地という印象を強くする。

東口は駅ビル「COMIN=カミン)になっており、地下一階から地上七階までに店舗が出店している。

地下一階食品館、地上一階名店の街、二階シティファッションの街、三階ヤングファッションの街、五階カルチャー&ホビーの街、六階グルメの街、七階子供のひろばというフロア構成で、六階グルメの街には季節の天ぷら「はげ天」、居酒屋レストラン「KIRIN」、手打ちうどん「グルメ杵屋」、中華料理「長春飯店」など計一〇店が展開している。

駅ビルを出てバスターミナル前に立つ。左手前方のビル一階に牛丼・定食の「松屋」(鶴見東口店)が出店している。

二階はルノアール。松屋は西口にも出店しており、東西に分かれての店舗展開だ。東口店は平成5年11月、西口店(鶴見店)は昭和60年12月のオープンで、両店ともに店舗面積二五坪、客席数二〇席前後。

売上げは西口店が日商五〇万円、東口店が四五万円。ともに二四時間営業の店で、客層はサラリーマンが主体だが、西口は学生などヤング層の利用も多い。客単価は両店ともに五二〇円前後。

東口中央通りを横断して京急の高架下へ移動する。

高架下は京急ストア東店と「味のプラザ」で、味のプラザにはモスバーガー、ミスタードーナツ、ケンタッキーフライドチキン、天どん専門チェーン「丼丼亭」、居酒屋「新撰組」、「縁側屋」などが出店する。

ミスタードーナツは西口にも出店しており、両店ともFC店だ。東口店は六年前のオープンで店舗面積四三坪、客席数五四席。営業時間午前8時~午後10時。

西口店は昭和59年のオープン。店舗面積六〇坪、客席数七〇席。営業時間午前6時30分~翌朝1時。

西口店の営業時間の方が長いが、これは東口はオフィス街で客層が主としてサラリーマンで、土・日も含めて夜の吸引力が弱いこと、西口は住宅街に接しているので乗降者も多く、また、若者の来街も多いので、JRの終電までの営業時間ということだ。

このために、同じチェーン店でありながら売上げにも開きがあるということだ。具体的な売上げは明らかでないが、東口が月商一〇〇〇万円以上、西口は二〇〇〇万円近くを確保しているようだ。

「東口は直進すると臨海部で工場街ですし、商圏人口も半径三キロメートルで三万人くらい。西口は西友が出店しているので、来街動機も高まりますし住宅街と接していますので、集客数も売上げも、西口の方が二、三倍くらいは多いのではないかと思います」(ミスタードーナツ京急鶴見店北尾政雄店長)。西口は東寺尾、獅子ケ谷町、駒岡町など地域の住宅街のほか、港北区や幸区にも隣接しているので、バス路線での来街者も多いわけだ。

西口は二〇年ほど前までは、小さな店が散在する程度の地味な場所であったが、現在はバスターミナルが整備されているほか、複合都市ビル「fuga1(地下一階~地上七階)「fuga2」(地下一階~地上五階)、「fuga3」(地下一階~地上五階)〈フーガ1・2・3〉の三棟が建っており、地域の新たな顔として独自の賑わいをみせている。

地域の再開発として誕生した都市施設だが、これはセゾングループを主体に、地域の地権者と共同で推進し具体化したものだ。

商業施設では西友ストアがフーガ1に出店しており、地域唯一の量販店として集客力を発揮している。

フーガには飲食店舗も多く出店しており、東口にはない集積度をみせている。

西口は駅改札口と一体化する形で地下一階、地上六階建ての商業ビル「ミナール」が建つ。

昭和60年1月にオープンしたもので、地下一階に酒処「たぬき」(サントリー系)、地上三階にハンバーガーチェーンの「ファーストキッチン」(同)、とんかつ「蓬楽亭」(京樽の直営店)、喫茶「シャノアール」などが出店している。

ファーストキッチンは改札口を出たすぐのところにあり、また、ここは東西口を結ぶ通廊でもあるので、人の往来が顕著で立地的には恵まれている。

昭和60年10月のオープンで、店舗面積八一坪、客席数一〇四席。客層は若い男女、ファミリー客が主体で、客単価五〇〇円。月商一八〇〇~二〇〇〇万円前後。営業時間午前7時~午後10時30分。

ミナールの三階部分は西口広場(バスターミナル)に通じるプロムナードデッキになっている。

フーガ3出店のミスタードーナツは前述のとおりだが、この店は横浜フーズ(本社/横浜市・東神奈川)が経営するFC店で、他に一一店を展開している。

ドトールコーヒーはミスタードーナツ左隣での出店で、平成5年3月のオープンだ。

レコードショップが退店したのに代わっての出店で、店舗面積一二坪、客席数二〇席。

客層は朝・昼・夜によって多少異なってくるが、主婦、サラリーマン、OLなどが主力客層だ。

人気商品はカフェラテ、アイスラテ各二〇〇円、ブレンド、アイスコーヒー各一八〇円。フードメニューはジャーマンドック一九〇円、ミラノサンド(A・B・C三種)、各三〇〇円。

客単価三〇〇円。平均月商五〇〇万円前後、店の規模が小さいので、売上げの伸びには限界があるが、目標はクリアしているという。

営業時間は平日午前7時30分~午後9時30分、土・日午前8時~午後10時。

森永ラブはミスタードーナツ、ドトールコーヒーと向き合う形で位置している。fugamall(フーガモール)に面して出店しているわけだが、オープンは昭和60年10月。

店舗面積二八坪、客席数三八席。コーヒー一八〇円、テリヤキエッグバーガー五一〇円、ベーコンオムレツバーガーセット五八〇円、シャウエッセンチリバーガー五六〇円が人気商品で、客単六〇〇~七〇〇円前後。

客層は主婦などの買物客、ファミリー客が主体。まとめ買いでのテークアウトも多く、売上げの三割を占める。平均月商一七〇〇~一八〇〇万円。営業時間午前7時30分~午後9時30分。

モールを出て豊岡通りを左(バスターミナル方向)へ歩く。交差点の西側角地、五階建てビルの一~四階にマクドナルドが出店している。

平成2年4月オープン。一階がレジカウンター、二~四階が客席でトータルで一四一席。地域のFFチェーンでは後発だが、店は常に賑わっており、集客力は抜群という印象だ。

日商七〇~八〇万円(推計)。営業時間午前7時~午後11時。

〈fugal〉(四店)

・一階 森永ラブ、ほかほか弁当、喫茶リラ、茶きん上方鮨京樽

〈fuga2〉(八店)

・地下一階 すし魚がし、やきとり・うなぎ登利喜、コーヒー・スナック来夢待夢、中華満州園、中華上海、バー&レストランライブラ、特製手打ちラーメン悟空、立食そば・うどん「そば信」

〈fuga3〉(四店)

・地下一階 天ぷら・懐石寿楽

・地上一階 すし処寿楽、ミスタードーナツ、ドトールコーヒー

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