アパレルに学ぶ盛り付けのヒント:“即着”だけでは満たせない 「エモーション」で需要を獲得へ
ここ最近、繊維・ファッションビジネス業界では、気候対策が大きな課題であるとお話ししてきました。従来の四季を基本とした物作り・販売ではなく、“即着”需要に応える仕組みが必要になったためです。夏場がどんどん長くなり、“五季”“暑秋”などの言葉も通用し始めました。しかし、実需対応ばかりでは、ファッションは面白くありません。いよいよ、大きな流れを逆手に取ろうという戦略も出てきました。
そうした戦略で目立つのが、阪急うめだ本店。24年から盛夏を対象にした販売計画を進め、25年には晩夏を追加、売り場の新鮮さを追求してきましたが、26年は6~8月に秋冬物を先行投入する「エモーション」提案を取引先に呼びかけています。
きっかけは、今年6~7月、ある売り場で秋冬物が売れたことです。
人気は、総アニマル柄の薄手コートやラメ糸の半袖ニット、ミドルゲージのジャカードニットなど。猛暑の中でも、「今秋冬になったら、私、絶対着るから」という意気込みの顧客が多かったといいます。
ファッションが好きで買い物に来る同百貨店の顧客には、「寒い、暑い」よりも「ファッションを通じて自分を高めたい」と願う層が多いと改めてわかったわけです。そのため来年は、顧客の感情に訴えかける「エモーション提案」を6月末から本格化する計画です。
(繊研新聞社 取締役編集局長 若狭純子)











