2026年1月度、外食動向調査 フードコンサルティング

2026.04.06 566号 07面

 ●50ヵ月連続、前年比増収に

 日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2026年1月度売上げは、前年同月比8.5%増となり、50ヵ月連続の増加を記録した。

 1月は、冬休みや正月休暇、年始の新年会など外食機会が増えたこともあり、年間を通じても普段よりも客数が増加する月であり、客数は前年同月比5.2%増、客単価も3.1%増となった。業態別で前年比を下回った業態は、9月の36業態から10月は24業態、11月と12月は14業態、1月は13業態となり、徐々に落ち着いてきている。

 ●年収106万円の壁撤廃の影響

 飲食店経営においてパート・アルバイト従業員の働き方は、まさに死活問題となるが、今秋に予定されている「年収106万円の壁」の撤廃は、人件費とシフト管理の両面で非常に大きなインパクトをもたらすだろう。

 そこで今号では、2026年10月の施行に向けて固まりつつある「年収106万円の壁」撤廃が、飲食店に与える影響と、政府の負担軽減策(肩代わり支援策など)について詳細を解説したい。

 〈壁撤廃とは〉

 これまで、従業員数51人以上の企業において「週20時間以上」かつ「月額8.8万円(年収約106万円)以上」働くパート・アルバイトが社会保険(厚生年金・健康保険)の加入対象だった。今回の法改正により、「年収106万円」という要件そのものが撤廃される見通しとなった。つまり、年収に関わらず、「週20時間以上」働く従業員は、すべて社会保険の加入対象となる。

 〈与える影響〉

 (1)法定福利費(人件費)の負担増

 新たに社会保険に加入する従業員が発生すると、企業側は保険料を「労使折半」で負担しなければならなくなる。これまで社会保険に加入していなかったスタッフ1人当たり、月額で1万円強~の会社負担が新たに発生するため、利益を大きく圧迫することとなる。

 (2)シフトへの影響(働き控えか、長時間勤務か)

 手取りの減少を嫌がる従業員が、社会保険加入を避けるために「週20時間未満」にシフトを減らす(働き控え)リスクが生じる可能性がある。その一方で、壁がなくなることで、「どうせ加入するならフルで働きたい」と考える層の勤務時間を増やすことで、優秀な人材を囲い込むチャンスにもなる。

 (3)メニュー価格への転嫁(値上げ)は必須

 人件費増を吸収するためには、原価率や人件費率(FL比率)の抜本的な見直しが必要となる。メニュー単価の引き上げや、省人化(モバイルオーダーや配膳ロボットの導入)などの経営努力が急務となるであろう。

 〈国の支援策〉

 企業の急激な負担増と、従業員の手取り減少(働き控え)を防ぐため、政府は以下のような支援策を打ち出している。

 (1)新たな特例措置:保険料肩代わりの「8割還付」(2026年10月から3年間想定)

 従業員の手取りが減らないよう、本来は従業員が払うべき社会保険料の負担分を、企業側が肩代わり(負担割合を増やす)した場合、国がその肩代わりした分の約8割を企業へ還付(助成)する仕組み。これにより、従業員は手取りを減らさずに済み、企業側も肩代わりによる過度な自己負担を回避しながら人材を確保しやすくなる。

 (2)年収の壁・支援強化パッケージ(キャリアアップ助成金)

 すでに動いている既存の支援策として、「社会保険適用時処遇改善コース」という助成金がある。

 ▽手当等支給メニュー=従業員に「社会保険適用促進手当」を支給したり、基本給を賃上げしたりして収入を増やした企業に対し、労働者1人当たり最大50万円(中小企業の場合)を助成するもの。

 ▽労働時間延長メニュー=従業員の所定労働時間を延長(シフトを増やすなど)して手取り収入を維持させた場合も、同様に1人当たり最大50万円が助成される。

 〈今後の対策〉

 「106万円の壁」の撤廃は、単なるコスト増ではなく、飲食店の収益構造そのものを見直すタイミングでもある。どの従業員が週20時間以上働いているか(加入対象になるか)を早めに洗い出し、人件費がどの程度増えるのか、増加額をシミュレーションしておくことが重要だ。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら