外食最前線:外食チェーンに見る新戦略 「プレミアム業態」「利用シーン拡大」など
新宿店ではJR東日本の列車荷物輸送サービス「はこビュン」を活用し、北海道産の朝締め地魚などを新幹線で配送し、当日夕方に店舗で出す取り組みもしている。写真は「函館はっかく」(420円・税込み)/「無添蔵 新宿店」
●「プレミアム業態」「利用シーン拡大」「次世代への新価値提案」
大手外食チェーンは時代の空気を的確にとらえながら変化に応じて戦略を柔軟に見直し、安定した集客を実現している。各社の取り組みには、現在の外食市場で支持される業態やサービスの方向性が色濃く表れているようだ。
回転寿司チェーン「くら寿司」は7月、中目黒店に続いて東京・新宿高野ビル6階に都内2店舗目となる「無添蔵新宿店」をオープンした。「無添蔵」はくら寿司のプレミアムブランドで、2005年に大阪・堺市に1号店の泉北店を開業し、関西を中心に現在6店舗(新宿店含む)を展開している。「無添蔵」で提供するネタは飾り包丁を入れる、だし醤油を刷毛塗りで提供するなどひと手間をかけ、店内も隠れ家風の落ち着いた内装にしてプレミアム感を打ち出している。
また、ファミリー客が多い従来の「くら寿司」とは異なり、「無添蔵」は飲酒需要が高いことから、新宿店ではアルコールメニューを拡充した。平均客単価はくら寿司が1500円前後なのに対して、「無添蔵 中目黒店」の例では2500~3000円。高級寿司店よりも手頃な価格で、従来のくら寿司よりも格上の“プチ贅沢”を楽しめる絶妙なポジショニングである。近年、外食チェーンが既存ブランドを高級路線にした別業態を開業する例が相次いでいるが、なじみのあるブランドのプレミアム業態は「手頃な価格でプチ贅沢を実感できる」点が大きな強みといえそうだ。
また、「丸亀製麺」は7月から、「丸亀うどんプリン」を数量限定で販売開始した。同品は店で手作りし、粉から打つうどんをベースに練乳などを混ぜてじっくりと火入れをしながら練り上げることで、独特のもちもちとろとろ食感のプリンに仕上げている。「丸亀製麺」ではうどんで作ったドーナツ「丸亀うどーなつ」を定番化するなど、うどんだけではなく現在デザートにも注力しているが、「利用シーンの拡大」が望めるこうした潮流は、他業態でも見られる。回転寿司店のカフェ化や、カフェ業態でのフードメニューの強化、日本そば店・ラーメン店の居酒屋化、ファストフード店でのアルコール提供など、新たな利用シーンを創出することで従来の客層を超えた需要を取り込む「業態のボーダレス化」は、今後さらに広がるだろう。
一方、しゃぶしゃぶの老舗チェーン「木曽路」はこのほど新しいしゃぶしゃぶを打ち出し、9月30日までの期間限定で販売開始した。「木曽路」が提案する新スタイルは、鉄板でさっと焼き上げる「焼きしゃぶ」である。しゃぶしゃぶ用牛肉をバターで焼き上げ、「おろしポン酢」と玉ネギベースの甘辛い特製「焼きしゃぶたれ」の2種類で味わう。鉄板で焼く=焼肉と何が違うのか、と思うところだが、しゃぶしゃぶ用の薄切り肉をバターで焼き上げることで、焼肉よりもあっさりとしながら、しゃぶしゃぶ以上のがっつりとした食べ応えを楽しめるのが特徴。「木曽路」ならではの落ち着いた空間で、ゆっくりと食事を楽しめる点も魅力だ。これまでにない焼きしゃぶの提案は、「従来の顧客層だけでなく若い世代にも間口を広げたい」(中川晃成代表取締役社長)という狙いもある。長年の固定ファンを持つ老舗チェーンであっても、次世代の顧客に向けた新しい価値提案は必須というわけだ。















