デリカの「今」がわかる中食通信:売れてるご当地デリカ惣菜弁当100選(8)山梨県 オギノ

2025.03.03 553号 15面
魚介たっぷり! 地中海風パエリア 580円(税込み)/約445g POINT:魚介エキスを逃さず調味活用

魚介たっぷり! 地中海風パエリア 580円(税込み)/約445g POINT:魚介エキスを逃さず調味活用

ムール貝を中心に各具材を対角トッピング

ムール貝を中心に各具材を対角トッピング

スチコン焼成により魚介エキスを逃さず調味ご飯に絡ませる

スチコン焼成により魚介エキスを逃さず調味ご飯に絡ませる

かいじ寿司 ※ネタの内容は季節や店舗により異なる 495円(税込み)/約250g POINT:鮮魚売場への憧れが開発力に

かいじ寿司 ※ネタの内容は季節や店舗により異なる 495円(税込み)/約250g POINT:鮮魚売場への憧れが開発力に

富士山丼(てんこ盛り海鮮天丼) 699円(税込み)/約505g POINT:見えない土台ネタが大活躍

富士山丼(てんこ盛り海鮮天丼) 699円(税込み)/約505g POINT:見えない土台ネタが大活躍

売場が華やぐ彩り豊かな平台陳列

売場が華やぐ彩り豊かな平台陳列

オギノ

オギノ

 ◆山間に育まれた絶妙な甘辛味 質実的な魚介アイデアは必見

 人口約80万人の山梨県を地盤に47店舗を展開する「オギノ」は、大手スーパーの県内進出に囲まれながら、地元志向の研さんにより健闘している。その象徴が郷土色あふれるデリカ商品だ。寿司店舗数やマグロ消費量のランキングで全国トップを争う山梨県だけに、魚介デリカの質実的なアイデアは必見。一方、山地の山梨県は、塩干物になじみ深く、味の濃い食文化が豊か。「地元味」と評される絶妙な「甘辛味」が発展している。そんな土地柄に育まれた注目デリカを紹介する。

 ●「甘エビ唐揚げ」で殻むき省略、分配も簡単

 「魚介たっぷり! 地中海風パエリア」580円(税込み)/約445g

 POINT:魚介エキスを逃さず調味活用

 本品は2018年、週末や祝祭などの団らん喫食をイメージして開発された。手間を要するため定番ではないが、売り出せば店舗日販20~30食は手堅く、地元客のみぞ知るオギノ名物に台頭している。

 売り物は彩り豊かな具だくさん。魚介はエビ、イカ、アサリ、ムール貝、野菜はブロッコリー、パプリカ、ズッキーニ、ナス、レモン。9種の具材が見栄えよくご飯を覆い尽くす。

 何より特徴的なのが「甘エビ唐揚げ」の活用だ。一般的には殻付きエビを用いるが、本品は丸ごと食べられる甘エビ唐揚げを使用。約40g(約10尾)がトッピングされており、殻をむく手間を省ける上、簡単にシェアできる。

 デリカバイヤーの久保田久美子さんは「食卓の中央にふさわしい華やかさを演出。手を汚さず手軽にシェアできる甘エビ唐揚げに着目しました」と説く。

 また、調理方法も独創的だ。惣菜調理のパエリアは普通、専用タレを絡めた調味ご飯に焼いた具材をのせる。惣菜調理に飽き足らない久保田さんは、調味ご飯をバットに広げ、魚介具材をのせ、スチコンで焼成。魚介エキスを逃さず調味ご飯に染み込ませ、専門店に近い味覚に仕上げている。風味を豊かにするため、調味ご飯に揚げた玉ネギのみじん切りを混ぜ込むのもポイントだという。

 一方、盛り付けの配慮も細かい。ムール貝を中心に、すべての具材が対角になるよう配置。具材の彩りと立体感が栄えるよう丁寧に調理設計されている。

 「老若男女を問わず好評。ハレの日やお祝いの大切な日に、オギノを選んで買物に来て下さるお客さまに、おいしい商品を届けたい、という思いで開発しました」と久保田さんは胸を張る。

 ●地域の食文化に寄り添う“甘辛タレ”

 「かいじ寿司」 ※ネタの内容は季節や店舗により異なる495円(税込み)/約250g

 POINT:鮮魚売場への憧れが開発力に

 誕生は1995年頃。デリカ責任者が鮮魚売場の華やかなにぎり寿司をうらやましく思い、デリカでもにぎり寿司を販売しようと決意。だが、仕入れと仕込みの経験が浅いため鮮度と品質はイマイチ。そこでツメに見立てた甘辛タレを生ネタに塗ってみた。すると日販約50パックの大人気を獲得。以降「かいじ(甲斐路)寿司」と名付けられ全店に広がり、現在も名物商品として定番化している。

 甲府市には、寿司ネタにツメ(甘辛タレ)を塗る食文化が残っている。それには2つの説がある。まず、山地で魚介類の流通が未熟だったため、鮮度の劣化をツメで補ったという説。次に、同じ理由で塩干物が多く、塩気を緩和するために甘いツメを塗ったという説。そのためか、焼き鳥などでも圧倒的にタレが売れるという。

 ●天盛りで存在感を強烈に訴求

 「富士山丼(てんこ盛り海鮮天丼)」699円(税込み)/約505g

 POINT:見えない土台ネタが大活躍

 誕生は2012年。海鮮を中心に5種類の天ぷらを富士山のように山高く盛り付けたボリューム満点の天丼。躍動感のある見栄えが天ぷらの存在感を強烈に訴求。写真ではわかりづらいが、ご飯は奥側に盛り、その上にミニかき揚げをのせて土台を安定させ、イカ天、キス天、エビ天2本をピラミット状にバランスよく配置。食べ進むのが楽しみになる。地元客のみならず県外からの行楽客もターゲットに販売。ご当地デリカとして育成している。

 ●店舗情報

 「オギノ」(47店舗/山梨県) 惣菜売上比率 約12%

 (株)オギノ/所在地=本部・山梨県甲府市徳行1-2-18/創業=1841年(綿糸問屋)、設立=1953年/年商=約748億円(2024年2月期)/従業員数=約2,362人(8時間換算)/店舗数=47店舗(山梨県35、長野県7、静岡県5)

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