電化厨房最前線(53)夢庵 戸塚深谷店
(株)すかいらーくが手掛ける和食FRチェーン「夢庵」は2007年9月、初のオール電化厨房店舗となる戸塚深谷店をオープンした。オール電化厨房の本格導入にあたり、メーカーと共同で電化厨房機器を開発。業務の効率化と品質管理の徹底に大きな成果をあげている。
「オール電化厨房を採用できたのは、オペレーションに最適な厨房機器の開発ができたからです」と、(株)すかいらーく建設部の中野敏和さん。
オール電化厨房の採用は2年前から検討課題だった。しかし、これまでは電化厨房機器の性能と同店のオペレーションとのマッチングが難しかった。ところが最近、電化厨房機器の性能がめざましく進歩した。厨房メーカーがユーザーと共同で機器開発をするケースも増えている。
今回、夢庵は電気式小型自動フライヤー、釜飯調理に使うスチーマー用アタッチメントの製作、焼き魚用サラマンダーのヒーターの改良などを提案、実用化している。なかでも電気式小型自動フライヤーの開発に成功したことが、オール電化厨房採用に大きく弾みをつけた。
同店のメニューの売りは揚げたての天ぷら。天丼や単品メニューのほか、セットメニューの付け合わせとしても広く使われている。
「既製の天ぷらフライヤーは油槽が大き過ぎて無駄になる油が多かった。小型タイプは食材を連続投入すると油温が下がり、品質が安定しませんでした」
新開発の電気式自動小型フライヤーの油槽は14~15リットル、油温を常に180℃に保てる。しかも操作はいたって簡単。衣を付けた食材を3つに区分けされた油槽内のどれかに入れるだけ。あとは自動的にリフトが食材を引き上げてくれる。上がってきたときには食べごろの天ぷらに仕上がっている。食材によって入れる油槽を変えるだけで、揚げ時間が調整できる。だから誰も失敗することがない。
「今後もより使い勝手のよいものを目指して手を加えていきたい」と中野さん。
以降、オール電化厨房2号店として夢庵淵野辺店を11月にオープンしている。
◆店舗メモ
「夢庵 戸塚深谷店」/所在地=神奈川県横浜市戸塚区深谷町957-1/営業時間=午前10時~翌午前1時/調理機器=自動天ぷらフライヤー、電気フライヤー、電気スチーマー、IHヒーター、電気ゆで麺機、ほか
◆現場からの声
(株)すかいらーく建設部 中野敏和さん
電化厨房機器の一番のメリットは、ガスに比べて機器のコントロール性が優れていて、調理の品質が安定すること。それに今日入った新人でもすぐに調理が覚えられることですね。ほかにも快適な職場環境を実現できる、汚れにくく掃除が簡単で衛生的、ガスに比べて故障しにくいといった利点が数多くあります。今後検証してゆくなかで、ランニングコストの低減やCO2の削減効果などに期待できるのも心強いですね。
◇(株)メカ 電気式小型自動フライヤーEE型(観覧車方式)
(株)メカの「電気式小型自動フライヤー」は、食材を油槽内に入れるだけ。あとは回転するリフトが食べごろに揚がった食材を自動的に引き上げてくれる。揚げ時間は3槽に分かれた油槽のどこに入れるかによって調節できる(揚げ時間のかかる食材は上げ口から一番遠い油槽に入れる)。リフト回転時には揚げカスも残さずキャッチ、油槽内がいつも清潔で油の傷みも防ぐ。投入スペースが広く、大きな食材も調理可能。1時間に約480個の冷凍コロッケ(60g)を揚げることができる。
※注=夢庵戸塚深谷店の電気式小型自動フライヤーは同品を同社向けに改良したもの。
問い合わせ先=(株)メカ(電話047・498・1322)