メニュートレンド:ふわとろ焼き、トマトお好み焼き 「感激たぬき 心斎橋店」

2009.01.05 352号 02面
(写真左から)=「トマトお好み焼き」、「ふわとろ焼き えびグラタン」

(写真左から)=「トマトお好み焼き」、「ふわとろ焼き えびグラタン」

 「感激たぬき」は、「ピエトロ」「びっくりドンキー」「函館市場」といったFC店を展開している(株)サンパークが満を持して生み出したオリジナル直営店。成熟したお好み焼き文化が根づく大阪で、新しいお好み焼きに出合う「感激」のある店として知名度を上げつつある。千里本店に続き大阪ミナミのアメリカ村にも出店。「ふわとろ焼き」と「トマトお好み焼き」が人気2大メニューとして注目を集めている。

 見た目は普通のお好み焼きだが、中から熱々のグラタンがとろーり。この驚きとふわっふわの食感が大人気の「ふわとろ焼き」。お好み焼きにグラタンを挟むアイデアを思いつく人は多いものの、実現は至難の技。

 「私の知っている限り成功しているのはウチだけ」とマネジャーの新庄晶さんは胸を張る。

 成功のカギはホワイトソースの濃度だ。お好み焼きの生地を広げた上にグラタンをのせ、再び生地を回しかけるわけだが、この段階では生地と混じり合わない粘りが必要。生地が焼き固まるにつれ、逆にグラタンはとろけなければならない。これを可能とするノウハウは小麦粉、牛乳、水の比率にあるのだが、完成までに丸3ヵ月かかったというレシピは完全企業秘密。

 同時に、お好み焼きに合うグラタンの味も追求した。砂糖を加えず玉ネギをじっくり炒めて引き出した上品な甘み、塩とコショウの薄めの味付け、牛乳多めのマイルドさがポイントだ。また、エビを炒めるときにワインを加えたり、1~2日寝かしてコクを出すなどの手間も惜しまない。

 さらに、水や塩など、すべての食材選びに注力。水は温泉水「寿鶴」(愛用食材参照)を取り寄せている。

 「たかが水と思われがちですが、味のまろやかさやクリア感に明らかな差が出ます。成分や分子構造が異なるからでしょう、たとえば水道水なら100g必要なところが寿鶴なら90gでいい。それくらいの違いがあるんです」と言い切る。

 また、塩はミネラル豊富で甘みがあり、粉物と相性のよい西モンゴルの天然岩塩を厳選。ボリュームがあっても、もう1枚食べたくなる軽やかさは、小麦粉、だし、具材、水、塩にいたる、すべての素材の品質とバランスにこだわった成果だろう。

 もう1つの人気メニューは「トマトお好み焼き」。こちらは他店でもときどき見かけるが、ここの売りは1年を通して新鮮なトマトをたっぷり使用している点。缶詰トマトとは違う、生のトマトならではの芳醇な香りと歯応え、手作りの本格トマトソースで差別化を図っている。

 ここでしか味わえないメニューと味で確実に固定ファンを増やしている「感激たぬき」。3年後をメドにプラス10店舗出店をめざす。

 ◆「感激たぬき 心斎橋店」/経営=(株)サンパーク/店舗所在地=大阪市中央区西心斎橋1-15-13、電話06・6252・8910/開業=2007年8月/営業時間=午前11時半~翌午前1時、無休/坪数・席数=約55坪・72席/客単価=約1500円/1日来店客数=約160人/目標月商=700万円/スタッフ=15人

 ●愛用食材:(株)垂水温泉鶴田(鹿児島県垂水市) 温泉水「寿鶴」

 「天然ビフォアクロレラ」(すべての生物の基礎を作ったといわれている)を含む鹿児島県の垂水温泉水。ペーハー9.4の天然アルカリ水、一般的な温泉水の100倍以上の天然ゲルマニウム含有、超軟水のやわらかな味わいなど数々の魅力を備えているが、中でも注目は、水分子が世界でもトップクラスの小ささであること。これは、料理に使うと素材に素早く浸透し、うまみや栄養分を十分に引き出すことを意味する。感激たぬきではすべての料理にこの温泉水を使用。味づくりのベースを支える大切な食材となっている。

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