低コストにこだわる必勝居酒屋メニュー(その37)牛すじ
牛すじと呼ばれるものは、アキレス腱、すじ(筋)、横隔膜のかぶり(メンブレン)の3種類の部位を指すことが多い。アキレス腱は、腱そのもので流通しているもので、肉は付いていないものと、若干の肉が付いているものとがある。煮込むとトロトロの食感になり、最近のコラーゲンブームのなかで、急速に認知度が上がっている食材だ。
すじは肉の生肉加工の工程で出る肉に付着しているすじを集めたもので、加工上、かなり肉が付いているものが多い。
関西や九州で、おでんダネとして人気のすじは、横隔膜を覆っているメンブレンと呼ばれる膜状のもので、コンビニおでんのすじは大多数がこの部位を使用している。
用途で使い分けるといいが、トロトロ感重視ならばアキレス腱を、肉の味も欲しい時にはすじを使うのが一般的。
調理のコツは臭み抜きだ。必ず下ゆでし、ニンニクや根ショウガ、長ネギ、玉ネギなどの香味野菜を加えておくことで、風味よく仕上がる。
すじはコラーゲンが多く、当然その煮汁にもコラーゲンが多く含まれるので、冷めると必ずゼリー状になる。一般的には温かな料理で提供することが多いが、ゼリー状に固めたスタイルで作れば、サラダや前菜風料理にも好適な食材となろう。
◇「ヒヨコ豆のコラーゲントマトシチュー」
美容と健康イメージを訴求
■参考原価=96円
■使用食材(1人前)
牛すじ(40g)ヒヨコ豆(ガルバンゾ、冷凍品50g)ホールトマト(刻み80g)玉ネギ(みじん15g)ニンニク(みじん3g)パセリ(みじん少々)パルミジャーノ(3g)バゲット(20g)塩・黒コショウ(各少々)オレガノ(少々)タイム(少々)水(50ml)オリーブ油(10g)
■調理方法
(1)牛すじは軟らかくなるまで煮て、粗く刻んでおく。
(2)オリーブ油でニンニクと玉ネギを炒める。
(3)オレガノ、タイムを加えて炒め、ホールトマトと水を加える。
(4)(1)とヒヨコ豆を入れ、味がなじむまで1時間ほど煮て、塩、黒コショウで調味する。
(5)オリーブ油でバゲットの両面を焼き、皿にのせる。
(6)(4)を盛り、パルミジャーノとパセリを散らす。
■メニュー開発のコンセプト
牛すじとヒヨコ豆をトマト味で軟らかく煮込んだイタリア風の家庭料理。人気の「豆」とコラーゲン効果満点の牛すじの組み合わせで女性客にアピール。
■応用のヒント
ヒヨコ豆の代わりにレンズ豆(レンティッキエ)やウズラ豆(ボルロッティ)を使用しても美味。
◇「牛すじ大根」
アキレス腱でトロトロ感強調
■参考原価=98円
■使用食材(1人前)
牛すじ(30g)牛アキレス腱(15g)大根(120g)ニンニク(スライス2g)根ショウガ(スライス4g)長ネギ(ぶつ切り10g)万能ネギ(刻み2g)フレンチマスタード(3g)A(日本酒10ml、みりん10ml、だし汁100ml、砂糖1g、醤油10ml、味噌2g、塩少々)
■調理方法
(1)牛すじと牛アキレス腱はそれぞれ軟らかくなるまで煮て、カットする。
(2)大根は皮をむき、コメのとぎ汁で下ゆでする。
(3)鍋にAを入れ、(1)、ニンニク、根ショウガ、長ネギを加えて味がなじむまで1時間ほど煮る。
(4)大根を加えてさらに1時間ほど煮る。
(5)皿に大根を置き、牛すじ、牛アキレス腱を盛る。
(6)万能ネギをのせ、フレンチマスタードをかける。
■メニュー開発のコンセプト
トロトロに煮込んだ牛すじと牛アキレス腱のまろやかな味が大根に染みた、コラーゲンたっぷりのつまみメニュー。
■応用のヒント
牛アキレス腱の代わりにモツ類を使っても美味。