スナック菓子特集

菓子 2020.05.08
スナック菓子特集

 ●コロナ需要へ商品供給に全力
 2019年のスナック菓子の生産数量は25万3858tで前年比0.6%増、出荷金額は2960億円で同2.4%増となった。
 出荷(生産)金額増減率が生産数量増減率を上回ったことは、商品価格が上昇したことを示す。一部メーカーが19年5月以降に実施したポテトチップスを中心とした値上げが一定程度浸透したことが見て取れる。
 スナック菓子は低価格競争で安値が定着する中、原材料価格の上昇や人手不足による物流費高騰の波にさらされた。特に製品価格と製品の大きな容積を要するバランスが、物流効率を悪化させるとの指摘があった。
 こうした背景もあり、カルビーは19年5月21日出荷分からポテトチップスの一部商品を値上げした。湖池屋も「湖池屋ポテトチップス〈のり塩〉」など、レギュラーサイズと徳用サイズを6月1日出荷分から、「カラムーチョ」「すっぱムーチョ」などを7月1日出荷分からそれぞれ値上げした。
 19年のスナック菓子市場の最大の課題は、新価格が定着するかだった。カルビーの20年3月期第1四半期のポテトチップス売上げは前年比2.5%減と価格改定の影響を受け苦戦するなど、値上げの浸透は難しいとの見方が広がった。
 潮目が変わったのが東日本に甚大な被害をもたらした台風19号だ。19年10月12日夜から13日未明にかけて東日本を通過し、関東、甲信越、東北地方に記録的な大雨や、河川の氾濫による浸水被害をもたらした。気象庁は最大限の警戒を呼び掛け、東日本を中心に超大型台風に備える動きが10月第2週後半から始まった。
 本紙ではKSP-POSデータを基に記録的な災害に備え、消費者がどのような加工食品を購入したかを調査した。
 スナック菓子の首都圏の週次データ(10月7~14日)の前年比販売数量は42%増と高い値を示した。台風に備える中、食事代替が可能で、一定程度保存可能なスナック菓子の価値が評価された。
 さらに新型コロナウイルスによる感染症拡大対策として、小中高の休校、その後の7都府県への非常事態宣言の発出と全国への拡大などで外出自粛が進む中、買いだめ行動や家ナカ消費拡大でスナック菓子の需要は急速に高まり、ロングセラーブランド商品を中心に販売が拡大している。
 一方、商品供給が滞り始めているとの声も聞こえてくる。各メーカーは想定以上の受注に対し、一部新商品の発売延期などの対応で商品供給に全力を尽くしている。(青柳英明)