寒天特集
伝統と先進性を併せ持つ寒天。豊富な食物繊維による健康機能の認知拡大などを追い風に続いていた堅調な需要に、新型コロナウイルスの感染拡大が影を落としている。原料用途で大きなウエートを占めている和菓子関連は、土産・贈答ニーズがストップ。内食化で家庭用製品は一定の伸びを見せているものの、業務用のマイナスを補うには遠く及んでいない。一方で、最大のネックだった原料海藻、原藻の価格高騰には、コロナ禍が一服感をもたらしている。
国産天草は10kg当たり2万円を超えるなど、「手が出ない」(メーカー関係者)価格帯に達していたが、外出自粛などで需要が激減した高級海産物などに代わって採集する漁師が増え、相場安の傾向が見られる。輸入原藻も、紅藻類テングサ科原藻の最大産出国、モロッコの輸出規制緩和や、中国産テングサの拡大に危機感を募らせる韓国産の値崩れなどで今後、価格下落が進みそうだ。19年12月から20年2月の天然製造期を直撃した記録的な暖冬、そしてコロナ禍と、次々と災難に襲われる業界。アフターコロナへの出口はまだ見えないが、「“コロナ太り”などの反省から健康志向が強まれば、寒天にとってチャンス」(メーカー)との期待も高まっている。(長野支局長=西澤貴寛)
-
◆寒天特集:コロナ禍、業務用ニーズ直撃 アフターコロナは健康志向の拡大へ期待
水産乾物・塩蔵他 特集 2020.07.22伝統と先進性を併せ持つ寒天。豊富な食物繊維による健康機能の認知拡大などを追い風に続いていた堅調な需要に、新型コロナウイルスの感染拡大が影を落としている。原料用途で大きなウエートを占めている和菓子関連は、土産・贈答ニーズがストップ。内食化で家庭用製品は…続きを読む
-
寒天特集:手作りデザート見直しを好機に 粉末切り替え拍車も
水産乾物・塩蔵他 特集 2020.07.22●「天然」安定供給が課題 寒天のトップ企業である伊那食品工業。売上げの6割を業務用関連が占める。「コロナ禍で、外食や学校給食などの需要が圧倒的に減った。在宅ニーズの高まりで、ゼリー・デザートの素などの“手作り商品”は伸びたが業務用のカバーには至って…続きを読む
-
寒天特集:カット寒天、シェア拡大 即食型提案で新需要創出
水産乾物・塩蔵他 特集 2020.07.22テングサやオゴノリなどの紅藻類から抽出した粘質液を凍結乾燥させた寒天は、成分の約80%が食物繊維で、カロリーはほぼゼロ。こうした機能性を多彩なメニュー、料理へ手軽に付加できる即食系のカット寒天タイプがシェアを広げている。 角寒天、細寒天のいわゆる「…続きを読む
-
寒天特集:原料動向=19年原藻輸入量は6.4%増 20年は一転減少に
水産乾物・塩蔵他 特集 2020.07.22◆記録的暖冬、大幅減産響く 財務省貿易統計によると、19年の寒天用原藻(紅藻類テングサ科)の輸入量は1731tで、18年を6.4%上回った。10kg当たりの平均価格は6571円で、18年から48円、0.7%の上昇と、ほぼ横ばい。7244円に跳ね上が…続きを読む
-
寒天特集:伊那食品工業 食シーン第3ステップへ、用途多彩な味や食感
水産乾物・塩蔵他 特集 2020.07.22「目指す消費シーンは、伝統的な固める、寄せるといった使い方や、トッピングなどの即食に続く第3のステップ。味や食感、用途に工夫を加えた多彩な寒天商品を展開していきたい」と伊那食品工業の塚越英弘社長は話す。 6月から一部の直営店で先行販売している「さく…続きを読む
-
寒天特集:森田商店・森田庄次社長に聞く 天草概況、供給減上回る需要減の見通し
水産乾物・塩蔵他 特集 2020.07.22【中部】寒天の製造と天草・海藻の加工販売とその付帯事業を行う森田商店の森田庄次社長に天草の概況について聞いた。 ●価格低下傾向、当面続く --天草生産は。 森田 国内では2019年の全国生産数量は入札数量と入札外数量を合わせ458tとなった。1…続きを読む